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One Sheep  作者: 相原 陸
6/7

第6話・弱音

「…言う…な…言うな…言うな、言うな、言うな、言うな…!!!」

「…ぐっ…かっ…あっ…や・・め、わ、…わかっ…た……っ…―――。」

相手の血のひいた本当に蒼白な顔が目に入った時はっと我に返る。

「…ケホッ…ケホ…ゴホッゴホッ…」

後5秒もしめていたらきっと死んでた…。自分の手が震えてペタンッと腰が抜けてしまった。

「…すまない。すまない…っ…!!」

初めてじゃない。

相手を殴るのも、一発いれるのも、首をしめるのも。

 怖い と思うのは 悪い事をした と

自分で自分を責めるのはきっと

優しさを知ってしまったからだ。


「…綾…っ…く…。」

俺の頬にはまた涙が流れ出てきて、まるで子供みたいだった。何時の間に泣き虫になったんだ…。

「…ゴホッ…な、何、泣いてるんだ。お前…!時限爆弾の…犯人だろ…」

「…がぅ…違う…本当は、やりたくねぇ…っ。」

「…。」


相手も吃驚したのか、あきれたのか、トイレのドアを閉めて俺の肩をポンポンと叩いた。

「…やらせか?…詳しく聞かせてくれ。」

「…時限爆弾の…犯人だぜ…。お前、警官だろ…。話せねぇよ…。」

途中で他の警官が入ってきたりした。・・・けど、何故かそいつが

『今、ちょっと相談中なんだ、悪いけど他を当ってくれ』とか言って、追い払ってくれた。

だから俺はありのままを話した。


薬を運んでお金を稼いでいた事。  親元から離れて生活してキャルミ―にお金を継ぎこんでいた事。


   昨夜、警察署を爆破しろと言われた事。     今、それをしようとしている事。


すぐ外に凶悪犯がいる事。   7時にその凶悪犯が出てくる事。     そして


  ストレスで耳が聞えなくて声も出せない人に会いたい事。



「…お前って不運なガキだな。」

「うるさい。…もうコレで全部だ。」

相手が立ちあがろうとした、きっと上に報告するんだろうか。

「…さて、それを話せば間に合うか。まぁ、お前の事は上に放しといてやっ…」

はたまた一発。多分、相当入ったと思う。悪いけど…悪い事してるけど…。

「…悪いけど、ココに居てもらう。告げ口する事は許さないから。」

鞄からヒモとガムテープを取り出した。

「…なっ何すっ、ん゛―――。ん゛―――!!!」

便器にしっかりと括り付けて時計を見た。思ったより結構たってて7時まで後2分だ。

「…警官サン、俺は行くよ。爆破する前に運良くそのヒモが外れるといいな。」

「…ん゛ー!!!…ん゛――!!」

もがく警官。もう、俺は大丈夫。弱音なんか吐いてたまるか。鞄をよっといわせて持ち上げた。

「ん゛――!!ん゛、ん―!!」

「…何言ってるかサッパリ…。なぁ…俺さっき言ったよな。」

後1分。といったトコロだったか、急に外が騒ぎ始めた。良かった、順調に進んでるみたいだ。んじゃ、そろそろこの

警官ともお別れしないとな…。


「…。…………会いたい人がいるって…。」


「大変だ!!この警察署の前に凶悪犯が現われたらしい!!すぐにかけつけろとのことだ!!トイレなんか後にしろ」

「分った。すぐ行く」

「ん゛――!!」

確かに、トイレの外を見たらスッカラカンだった。今いくしかない。

「んじゃ幸運を祈るぜ。…聞いて貰って軽くなったよ。警官も悪くないな、それじゃ。」

もうすぐだ もうすぐ…。


俺はところどころに爆薬を仕掛けた。ベンチの下や、机の中、警報の中…ざっと20個ぐらいしただろうか。外の様子が静まりかえっていったのが分った。

時計を見ると大体7時11分、イメージ通り。そして爆薬も後10分というところ。

俺は急いで、階段を駆け足で降り、出口へと向かった。


やっと 会える。…コレが終われば…



「出てきたぞー!!!!!!!」

ふいに暗い空から眩しい光が照らされる。


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