第4話・真実
こんな高校生居ないよと思います。本当に…っ(笑)
「あれー?もしかして綾??」
ふいにかけられた声。後ろを向いたら見た事のない女と男…。
「懐かしい、綾だよねっ!!」
女の方は駆け寄るなり隣の彼女の手を握り締めて親しげに話してる。…前の友達かなんかか…?
「…由紀、その子誰?」
男の方も愛想よく入ってきやがった。
「だからぁ、前話したでしょ?心因性失声と心因性難聴が重なった子って。」
丁寧に喉を押さえそして耳に手をあて動作をしてくれた。…失声…?…難聴…?何だソレ。聞いてないぞ…。
「あぁ、ストレスでなったってヤツか。可哀相にな。」
ストレス?俺は彼女の方を見た。そんなの聞いた事ない。怒ろうとした気が失せた…、今にも泣きそうな顔してるなんて反則だ。
「…あっちの学校でもちゃんとやってる?…って、あ!綾っ!?」
何時の間にか手が出てゲーセンの出口を目指してた。彼女の手を引張って。
「…ふは…。はぁー。…おい、大丈夫かよ?」
“私、何話してるかくらい分るの。”
少し震えた字で書かれてあった。外に出たら夜だって事がわかった。
「は?何言ってんだ?」
とか言ってる内にもうひとつ紙が送られる。
“御免なさい。うまく話せないけど…黙ってて…。でも、知られたくなかった…。”
彼女の肩が震えてるのが分った。んで、涙流してて一声も上げなくて…。
「…ッ…ッ…!!!」
「お前…。…声押し殺して泣くなよ…。」
何処かで聞いた台詞。…そうだ、トラックにひかれそうになった時も泣いてて、あの時初めて気がついたんだ。
“でも、さっき、私の手引張って連れ出してくれたの、嬉しかったの。”
「…お前…やっぱりウザい…。」
彼女が聞こえない事いいことにこう言って強く抱きしめた。
「…我慢するなよ、ちゃんと俺いんだから…。頼れ、ばか。」
やっぱり小さいな。抱きしめながらこう思った。そして紙にある事を書いて渡した。二つ折りにして表には
“明日の夜見て”って書いたんだ。
渡した後泣き止むまで側にいるつもりだった。けど、そうはいかなくなった。
「やぁ〜だ、衆ちゃん、その子彼女〜??」
目の前に現れたキャルミーの奴達。胸が高鳴った。
「…何しにきた…、今日は金払う日じゃない…。」
聞こえないように。見えないように。彼女を俺の胸にしまい込みそうになるぐらい引き寄せた。
「おぃ、おぃ。もう金どころじゃねーんだよ。薬まわしてんのがバレたんだょなぁ。サツによ。」
「え…。」
力が抜けて血がひいていった。だって信じられなかったんだ。
「しかも、俺達の名前でよ。」
グンッと俺の顔に奴の顔が近づいた。…何か要求してくる・・・。予感がした。
「でさぁー?その証拠を消すためによ、コイツと手を組んでサツ署のファイルを消して欲しいってわけよ。まぁ、爆破してもいいんだけどよ」
その発言と共に現われた男。…知ってる。ポスターでよく見かける…。凶悪犯だ。日本中の的になってる…。
「爆破?…何言ってやがる。俺はやらない、そいつとも組まねぇ。第一薬を運んで稼げっつったのはお前らだっ…」
目の前を遮る風の音、危ない刃。避けたのが悪かったんだ。彼女から離れてしまった。
「神沢っ!!!」
「…やっぱ、女かぁ〜。お、結構可愛い顔してんじゃん。」
腕を引張られて痛そうな顔をしている。…どうする。…どうすんだ、俺…。
「…放せっ。触れるな。」
「おいおい、それが人に物を頼む態度かぁ?なんなら、お前の変わりにこの子をボコボコにしてやったって…」
「爆破させればいいんだろっ!!!」
奴とか女とか…凶悪犯までもが笑ったんだ。
…こうなるんなら彼女を助けて逃げた方が良かった…。
何であんな約束なんか、したんだろう…俺は…。