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One Sheep  作者: 相原 陸
3/7

第3話・案内

彼女と出会って3日目。

初恋しちゃった俺、日立衆に初恋された耳が聞こえなくて声が出ないオンナノコ、神沢綾と一緒に歩いている。

胸がチクチクして、でもほわほわして、なんだかよく分らない初めて知った感情だ。


どうかこの絆を、右に進む時計の針もずっとこのままで明日がきてくれ。

                

                この先もずっと…俺達に灯りを照らし続けて…






 後日。学校が終わるのが早くなった日俺と彼女は街へと出た。カンニングペーパーと言う名の一枚の計画が

練ってある紙と『誰でもすぐできる!基本の手話』を持って…


『えーと…見たい物ある?』…ってどうすんだっけな。頭の中で色々な動作が横切る。おかしい、結構練習してきたんだけど…。

そして出た結論。もう自分でも何してるんだか…あわ踊りやら何言いたいんだか、本当頭ゴチャゴチャだった。からやめた…

情けない俺。

“何処行くの?”

トントンと肩叩かれ紙を渡される。はっと思って気付かれないようにカンニングペーパーを見た。

“最初は動物園。ココらじゃ産まれ立ての象がいて観光客も多いんだ。”

顔を上げる彼女。嬉しそうにはしゃいでる。勿論、産まれたての象がいるって知ったのは昨夜…。

上手くいくと思った。上手く…い…。

“人が多くて見えないよ”

文句の紙…。なんだよそれ、しょうがねぇーだろ多いんだから。

その後も人の流れ流れで二人ともぐったり状態。…何でだか上手く行かない…何もかもが

だんだんウザく見えてきたんだ。

11時前、もうすぐ昼飯の時間か…。そういえば、この後何処だっけ…トイレでも行って見てくるか。

「お れ ト イ レ 」

「??」

「ト イ レ」

「…?」

「だぁっもうっ ト イ レっつってんだろっ!?」

「!!」

納得してへらへら笑ってどうぞという様子が嫌にムカついた。何で、こんな事してんだ……。

馬鹿か…俺は…。気がついたら思いっきり計画のカンニングペーパーを握りつぶしてた。



“次、何処行くの??”

「…。…次はお前の好きなとこだってょ…。」

俺を軽く叩いてきた手を軽く払った。…今俺の顔、絶対イラついてる。

見せたら落ち込むだろーな。

“御免、何言ったの?紙に書いてくれる??”

「…っち。」

舌打ちした瞬間、彼女の表情は曇ったのがよく分った。

『御免、別に傷つける気じゃなかったんだ。次はお前の行きたいトコ。何処がいい?』…何で言えない。こんな短い言葉。

“次はお前の行きたいとこ。”

彼女の顔を見ず紙を渡した。そういえば名前で呼んだコトねぇな…手話もできねぇし…。

“…じゃあ…ゲームセンターがいい…。”

驚いた。の一言、だって、女ってゲーセンなんかいきたがんのか!?

普通だったら…。………ど。何処、行きたがるんだ…?

多分俺の顔は彼女を見ずに一人で悩んでたと思う。本当にそれでいいのかって…。


***


「馬鹿ッお前、それ取るんなら右、右だっつの!!」

只今、ゲーセンにて番号ついた箱と景品交換するUFOキャッチャー中・・・。思った通り下手糞だった…。

「貸せよ、どれが欲しっ…。…紙っと・・。えーと、ど…れが…欲…し…い…んだ…?…」

ゲーセンなんかで大声出しても聞こえやしない。持ち合わせた紙を出して彼女に聞いた。

“あの、右端の14番”

「14…ねぇ…。こーいうのはなぁ、コツがあるんだよ。コツが…」

俺の指示通りに動き出すクレーン。…おしっ。完全に取れる位置だ。

ガチャンッ!! 

「ほらっ、取れただろ。交換場はあっち行って、右だから…。」

降りてきた箱を取って彼女に渡して、走る様を見て。…嬉しそうだったな…、景品ひとつで…。ん、もう戻ってきた。

コッチに走ってくる彼女の腕にはクマの人形が抱えられていた。

「…そ…それ?」

それでも、嬉しそうな彼女。ニッコリして紙に何か書くと俺に渡した。

紙には…“やっと、私の顔見てくれた♪有難う、このクマ  大事にする  ”こう書かれてた…って、え?

見てくれたって…俺の頭に動物園での行動が思い出された。

…あぁ、それで…ココに来たら見てくれるかもってか?

チラッと紙越しに彼女を見た。そしたらニッコリ笑って微笑んで…やっぱりそうみたいだ。そんな彼女を見て恥ずかしいけれど、何処か嬉しい気持ちが込み上げた。




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