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One Sheep  作者: 相原 陸
1/7

第1話・出会い

確か初挑戦の恋愛物です。文字ぼけしていたらすいません。(笑)切ない風に書き上げたつもりです。


何をしたって、もがいたって教師にも、親にも、反対され続け仕舞には拒絶される始末。

皆、そぅ同じ目で俺を見る。いい加減この世界にそろそろ飽きた頃だった。



OnE SheeP


印象強い出会い。忘れられない1日となったあの日。

日立ひたち しゅう17歳。

回りからは札付きの悪といわれてるらしい。(この言い方も古いけど)

さて、本題に入るとして…

あの日は桜がふぶく春だった。

俺はいつも通り入学式サボって、丁度終わる頃に校門へと向かったんだ。

そしたら、前から誰か走って来てその子は下を向きながら俺の方へと突進。

「…ってぇっ!!!!」

急にブツかってきた女の子。吃驚してやっと顔を上げやがった。しかし、それから何秒かたつのに

謝りも無し。そのままジーッと俺の顔見て固まったようだった。

「おいっ…どけよ。」

俺が冷たく言い放つとその子はハッと気付いてイソイソと俺の上から降りた。その後はまたジーッと見て。

「…。何?文句あんの?言ってみろよ。」

「…!!!」

その女の子は言葉の意味を理解していないのか何かに気付いたように立ちあがると一礼をして去って行った。

…変な出会い。



「ほら、あの子2−Cに転校して来る子!!名前は…………神沢 綾…だっけ?」

神沢 綾。

何処かで聞いた事あるような…。あ。もしかしたら昨日ぶつかった奴か?

クラスの奴らはこの話題で持ちきりだった。勿論、転校生なんて興味無かったけど…。

「愛知県から来た…さんだ。皆…するよう。」

センセの話なんて右耳から入ってそのまま左耳。俺は桜の木を見て、隣に転校生がいることにも気付かなかった。

トントン。背中を叩かれる。振り向けば、そこに居たのは…多分…神沢綾。

昨日の事をもう忘れたのかニコッと笑って。握手を求めてきた。

「冗談じゃねーよ。誰がお前なんかと…ウゼェっつーの。」

たちあがって、教室を後にした。そのまま外に出て街中を歩いている途中だった。

…後ろに誰かついてきてる…?

そして予想的中。彼女が後ろから息切らしてついて来やがった。

「おめぇ、何だょ?ついてくんなっつの!!」

何度言ってもついてくる。俺は無我夢中で赤信号を突破した。流石についてこれないと思って

後ろを見たら…。


「あ、危なっ…!!!!!!!」

トラックだ。彼女のまん前まで来てて…。一瞬心臓が飛び出るかと思った。俺は自然に体が動いて彼女をコッチへと引張った。

「っ…おまっ…何してんだよ。ひかれる寸前だぜ!?」

改めて彼女を見た。分った事がひとつ。震えてる。

「…。…立てる?」

最初と同じだ。同じ体制。でも、最初と違う事がひとつ。彼女が震えて…そして俺があえて優しくなってる。

「…ッ。…ッ…!!!」

「おぃ、んな声押し殺して泣く事ないだろ?…。…?」

…まさか…どっか打った?俺は彼女の顔を除き込んだ。

「…ッ。…ッ…。」

「…お前…もしかして…声…。」



自分で自分の目を疑った。まさか。そんなハズない。第一こんな普通の学校に来てもいいのか?

って、何やってんだよ。俺…こんな奴膝にのせて馬鹿か俺は。とりあえず、落ちつくとこ行かないと…。

彼女の腕を持ち上げようとした。…けど、動かない。

「…ウゼェよ、おめぇ…。」

こんな事して、自分で自分が恥ずかしくなった。動かない彼女をおぶったんだ。

廻りからは注目されまくり、ささる視線の釘が痛い。

はたから見たら可笑しいだろう。泣いている女をおんぶする俺・・・。…自分でも笑っちゃうよ。

そんで、俺はともかくファミレスの中に入って彼女を落ちつかせた。いつまで泣いてんだ??

イライラオーラ‐が出ていたんだろうか、それに気付いた彼女は慌ててポケットから紙とペンを出して

何かを書くと俺の前に差し出した。

「…あ?何、コレ…。」

紙の上には達筆な字でこう書かれていたんだ。

“さっきは御免ね。でも、ありがとう、日立君。”

俺はそれを見るなりフッと短く笑って、紙に書き返した。

「…たい…した、事ねぇ…か・・ら、もう…二度…と…飛び…出…すん…じゃね・…―…ぞ…?」

…まるで先生と小学生みたいだった。彼女は紙を受け取ると嬉しそうにしてニッコリと笑った。

“とりあえず、教室戻って授業受けないと。行こう?”

「授業なんか、いいじゃん、お前一人で帰れ…――あ…。」

ふいに頭を横切ったんだ。また、交通事故なんかにあって俺のせいにされたら…って。

そう思うとメンドくさくてしょうがないから一緒に教室に戻ってやった。…って、俺…なんか

彼女のペースに振りまわされてないか?そう思ったのはもう彼女に慣れた放課後だった。


「…はい??」

下校時。彼女が俺と自分を指差してそして生徒玄関を指すんだ。…何言ってるんだ?

「…えー…あんたと…俺…生徒玄関…??」

彼女は首を横に振った。そしてもう一回同じ動作をして、プラス歩く動作。

「はぁ?…んー…。あんた…と…俺は…生徒玄関で歩く??」

もう一回首を横に振られた。何言おうとしてんだよ…?俺はもう一回考え込んだ。

「…歩く、だろ…生徒玄関じゃなくて外か…?えーと…俺とお前…で…んー…」

そう悩んでいた時だった。

「(ピンポンパンポーン)現在、学校に残っている生徒諸君は早めに帰宅するように。繰り返す、現在残っている…―――」

「わぁーってるっつの。うるせぇ、放送。今、帰るトコ…。…………あ」

やっと気がついた、という顔で俺を見た。そうか、一緒に帰るって事か。

「何だよ、もっと、ちゃんと言えよ。  ヘ  タ  ク  ソ   」

「~~~!!!」

少し頬を膨らまして怒る彼女。それを笑う俺、無意識だ。無意識に笑ってる。心が、軽くなったような気がしたんだ。

んで、二人で普通に話もできないけどすぐ飛び出しそうな彼女の手を引張って街の中を歩いた。彼女と、俺は

たった1日で、

「友達」

になったんだ。


****


「…5万、持ってきたか?」

夜、キラキラと輝く商店街の町並み。端っこの

「キャルミー」

という店で俺は3日に1回金を渡しつづける。

「衆ちゃん、綺麗になったわねぇ〜。どう?5万ぐらいで?きゃはっ」

プンプンと香水をつけた女達、それをモノにするように威張る何人もの男。…だからこの店は嫌いなんだ。

「っ…触るな。気持ち悪い。」

「まぁっ!!ふふ、いいじゃなぁーい、薬まわしてお金儲けして初めては11でしょ??まぁ、いつも相手してるけどね♪」

…その通りだ。けど、俺から好んだんじゃない。あんたらが無理矢理させたんだ。

「おいおい、衆。俺の女に手ぇ出すつもりかよ?早く5万渡しな」

「ん。」

相手に押し付けるように金を渡した。…早く、出たい…。

「…っだよ、その態度?それが金を貸してもらっている人にやる態度かよ?あ?」

そして取り囲まれる。こんなのいつもと一緒だ。

「終わったら、あたし達にまわしてねっ。顔がブッサいくに戻って来ても、体がボロボロでもしてあげるわよ。きゃはは」

…時々あるんだよな。こういう事…。でも、もう…痛みさえも感じねーよ。

…あともう少しで終わる。あと、もうちょっとで…。いつもみたいにこんな事を思っていると彼女の顔が思い浮かんだ。


明日、学校へ行ったら皆のように俺のボロボロ姿に


驚いて拒絶するのだろうか?…学校の噂を聞いて他の奴らと同じようにあんな目で俺を見るのか?

そう思うと、いつもは痛まないトコロが少しだけキッとした。


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