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ベアーズロック-神々の晩餐-  作者: ゆる


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#84 【ホッカイ島再上陸編】Re:Start(リスタート)


「魔鉱石ならここにありますっ!」



扉の外には雨に打たれながらも肩を組みながら歩み寄る者達がそこにはいた。


「…お前達。」


先頭の女性の手には、手に収まる程の蒼く輝く石があった。

「…あれが魔鉱石。」


先頭の女性がサマー軍団長の前に立つ。

目付きの悪い彼女は確か、ライラ班のアンナ。

しかし、アンナは姿勢を正し、敬礼をした。


「第三部隊のアンナです。只今、帰還しました。この魔鉱石はギーミャ村から来る途中、崖の麓で拾いました。」


差し出した魔鉱石をサマー軍団長は受け取ると、アンナの肩に手を置いた。


「理由はともあれ助かったよ。ありがとう、そしてよく無事に戻った。」


サマー軍団長の言葉に気が抜けたのか、アンナは堪えていたものが解き放たれ、その場で泣き崩れてしまった。

それを見たサマー軍団長は、彼女を包み込むように抱き締めた。


生存者は、第一部隊ナオ。第二部隊イケ、ユイ。第三部隊アンナ。第四部隊、第五部隊は共に全滅。

軍団長を合わせてたった五人にまで減少した。


「サマー軍団長。この人数でホッカイ島に乗り込むのは、あまりにも無謀ではありませんか?」


イケの言葉にサマー軍団長は反応を示さなかった。


「…あなたまさか…イマ隊長の事を。」


顔にこそ出さないが、恐らくサマー軍団長は一人でもホッカイ島に乗り込むつもりだ。


「駄目ですっ!自殺行為です!」

「…だったら何だ。後先考える事だけが正義とは限らない。もう一度あの地で闘い、この戦争を終わらせる。」

「いくらあなたでも死にますよっ!」

「だから構わないと言っているっ!!」


サマー軍団長は、イケよりも強い口調で返した。

それを見ていた各部隊の隊員達も一人、また一人と立ち上がった。


「イケ隊長、私達は生きる為に闘っているんです。皆で生きてナウチー村に帰る。それだけで充分なんです。その為にもベアを何とかしないと、一生平和は訪れない。」

「死んだ皆の仇も打たないと。」

「今更、引き下がるつもりはありません。」


ナオ、ユイ、アンナは強い決心を打ち明けた。


「頼もしい隊員達だ。イケはどうなんだ?」


「僕は…」


この時脳裏に過ぎったのは、自分の生死の事では無かった。

これまでベアの犠牲になった仲間達の顔だった。


「…もう同世代は一人もいなくなっちゃったじゃないか。痛い思いしたくせに、何で背中押すんだよ。」


イケの意識下で、歴代のベアーズロック隊員達がイケの背後に現れた。

イケの背中を押したのは、同期で同郷のルイだった。


「…ルイ。」


ルイは何も言わない。

ただ笑顔で送り出した。


そして、意識は再び現在に戻った。

イケに集まる視線、涙を拭って答えた。


「…わかりました。行きますよ。」


「イケ、皆。ありがとう。」

サマー軍団長は深く頭を下げた。


「よっしゃ!あんたらの根性気に入った!そこまで言うなら、海上機関車出してやるべぇ!魔鉱石を貸しな!」

男は魔鉱石を手に取り、じっくりと何かを見ていた。

「ここ最近の魔鉱石にしては上物だ。これなら往復出来るべぇ。ただし、何度も言うが、ホッカイ島はベアで群がっている。停車する前にお前さん達はその羽根で飛び、ベアに斬り掛かれ。それが海上機関車を出す条件だべぇ。」


「勿論、お約束します。貴方と海上機関車は、死んでもお守り致します。」


「わしの名は、ネブタだ。本年ピチピチの六十だべぇ!」


こうして、残ったベアーズロック隊員達は、海上機関車に乗り込んだ。

三年前の戦争をもう一度。いや、最後の闘い。平和な世界にする為に。


「さぁ!行くぞっ!」


数ヶ月ぶりに聴いた軍団長の掛け声で、隊員達の身が引き締まった。

豪雨の中、響き渡る海上機関車の汽笛は、再出発の合図のようであった。



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