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ベアーズロック-神々の晩餐-  作者: ゆる


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#73 改竄・解放


空は雲が立ち込み、漆黒の闇に覆われようとしていた。

果てなく続くそれは、まるでベアーズロックそのものを表しているようであった。

しかし、それは今の私達も同様であった。


「ねぇ、あなた達。何が気に入らないの?」

私の問い掛けに隊員達は顔を見合せていた。

そして、私を馬鹿にするように笑いながら一人の隊員が前に出た。

「何がって、貴方が気に入らない。そのレベルで三番隊隊長って、ベアーズロックも終わったな。」

彼の名はオナット。隊員の中では一番腕が立つ。しかし、この難のある性格が災いし、連携が全く出来ない。

「おいおい言い過ぎだろぉ。元はお姫様なんだから、弱くって当たり前。コネだよな?コネ!」

オナットに近付き、一緒になって嫌味を言い放っているのは、同じく三番隊隊員のジャズだ。ジャズはこう見えて努力家だが、オナット同様性格で全てを台無しにしてしまうタイプだ。小柄な体型で意地を張れるのだから大したものだ。

「貴方達が何と言おうとコネではないし、実力を見て評価してもらったつもりよ。」

「実力?無いでしょ。これ見なさいよっ!」

女性隊員のアンナが私に近付き、一枚の紙切れを投げ付けてきた。

そこに書かれていたのは最終訓練の数値だ。五種目五段階評価で最高得点は十五点。各部隊の隊長クラスの平均は十三以上だが、私の評価は九だ。

「オナットやジャズの総合評価は十一、私とミカナは十。何で私達より評価の低いあんたの指示に従わないといけないのよ。」

「そうそう。弱くてダサい奴には興味も無いし着いて行く気にもなれないわ。」

アンナに続き、ミカナまでもが私を否定した。

「…わかった。そこまで言うなら単独行動を許可するわ。私はずんださんやダテ兄といるから、何かあったら呼んでください。」

私の言葉に隊員達は再び顔を見合せて笑った。

「だからっ!てめぇの命令なんか聞かねぇって!」

オナットの罵声で四人全員がその場から飛び立った。

溜息を吐く私を見たずんださんは、心配そうな表情で私に声を掛けてくれた。

「…若者は苦労して成長する。今はまだ何を言うても分からん。そな気にする事ないよ。」

「…ええ。大丈夫です。彼等も腕がない訳ではありませんし。」

「…ただ、間違って【魔の三角地帯】に踏み込まないと良いのだが。まあ、注意書きもあるし、ロープで周囲を括っているから大丈夫だとは思うが。」

ずんださんの言葉に私は一瞬心配が過ぎる。しかし、彼等もずんださんやダテ兄の話を聞いていた為、大丈夫だろうと思うようにした。


「ところで、【ベア】と【魔の三角地帯】は何か関係しているのでしょうか?」

「正直な所、分からないと答えるしか無いな。何度も言うが現地には入った事が無い。一人でも生還していれば、中の状況等は聞けんだろうが。まあ、三騎士もわざわざ記録に残さなかったということは、そこまで関連性があるとは思えない。あくまで推測にすきんがな。」

ダテ兄は腕を組みながら険しい表情のまま話を続けた。

「そもそも、【ベア】が誕生したのはホッカイ島が始まりじゃないんだろ?」

「…えっ?いや、過去のホッカイ島の事件が始まりと言われていますよ。ホウジンゾクと呼ばれる前の人間という私達の先祖が…」

私が話を続けていると、ずんださんとダテ兄は驚いた様子でこちらを見つめていた。

「……なんですか?」

私は思わず聞き返してしまった。

「…ライラさん。ホッカイ島の話を教えてもらえねぇか?ベアの歴史とライラさん達、ベアーズロックが体験したお話を。もしかすると、何か大きな勘違いの連鎖が生じているやもしれねぇべ。」

「…勘違い?」

私は、ずんださんの言っている事が全く理解出来ずにいた。

「…私は、幼い時から先祖である人間の歴史について記された聖書を読まされてきました。一九四五年 十二月九日 サッポロ市で起きたベア襲撃事件。二年後から人類は反撃の狼煙を上げ、更に五十年の年月を掛けてベアーズロックはついに優勢となった…」

私はそれから過去にあった出来事を洗いざらい話した。聖書の話もだが、ベアーズロックがどのような闘いをしてきたか、私個人は何をしてきたのか。

そして、辻褄の合わない記憶と【アキ】という人物。イケはベアの親玉じゃないかと言うが、そんな事よりも記憶を改竄している事が大きな問題だ。


────記憶の改竄?


「…もしかして…私達、随分前から記憶を書き換えられているんじゃ。」



ドガアァァァァァァァァァァンッッ!!!!!



突如、何かの爆発音とともに地響きを打ち、周囲は騒然とした。

私達は頭部を守りながら、建物の外へ出た。

「…こりゃあまずいかもしれん。」

ずんださんの見ている方向を見ると、巨大なうねうねとした青黒い何かが森の中心から天に昇っていたのだ。

「……あれは一体。」

するとダテ兄は、血相を変えてその森の方向へと走って行った。

「…ライラさん、落ち着いて聞くべぇ。恐らくあそこに【竜の祠】がある。何者かが封印を解いてしまったんだべ。このタイミングで解かれたということは、ライラさんの隊員達かも知れねぇ。」

それを聞いた私は、冷や汗をかいてダテ兄の後を追い掛けた。


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