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ベアーズロック-神々の晩餐-  作者: ゆる
第一章 神々の晩餐

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#62 海上機関車と魔鉱石


ーソウモリ村ー

名物の多いこの村では、特にアンゴが盛んだ。

アンゴとは酸味と甘みの強い果物で、赤い皮で覆っている。サクッとした食感が特徴的で国外でかなり人気のある品だ。その為、村の住人はアンゴの輸出で得た利益で暮らしていると言われている。

ソウモリ村は五つの地方で分類されており、住人は約二十七万人いると言われている。


私達が今向かっているのは、【ダイマミツ区】というソウモリ村でも最北の地である。そこには灯台が建っており、その灯台にはホッカイ島に行く為の海上機関車があると言われている。

海を飛んで渡る事も可能だが、天候の変化が激しく、生存率は一割以下と言われている。

今となっては飛行艇もない為、その海上機関車に頼るしか無いのだ。


私達が通った洞窟は、ソウモリ村へ入る為の洞窟。そこを抜けるとソウモリ村の中心【ソウモリ区】に出る。

そして、【ソウモリ区】には四つの地方へ繋がる洞窟が存在している。ソウモリ村の住人は、区を行き来する事が多い為、少しでも移動を楽にする為に作られたそうだ。

【ダイマミツ区】を直接繋ぐ洞窟を通った私達は、数日掛けて到着したのだった。


「…長かったですね。」

私の足のマメは潰れ、右足の踵にはイボのようなものが出来ていた。

「あと一息だ。見てみろ。」

イケ隊長の指した方角には小さく灯台が見えた。灯台は目印として示すように、遠くまで光を回転させていた。

「…あそこに海上機関車があるんですね?」

「あぁ。ただ一日一回出るか出ないかだからな。まずは交渉してからだな。」

私は靴を再度履き直し、イケ隊長と共に灯台を目指した。


「そういえば隊長さん。私達、思い切り軍団長の命令無視してますけど大丈夫なんですか?」

すると、イケ隊長は明らさまに動揺していた。

「…もしかして、何も考えて居なかった感じですか?」

「…ま、まぁ、大丈夫だ。」


────これ、絶対大丈夫じゃないやつだ。

そんな心の声を漏らさないよう、私は黙ってイケ隊長の後を着いて歩いた。


村の中を通り抜け、急な坂を登り、漸く灯台へと辿り着いた。

「雨、凄いですね。」

少し場所が変わるだけで天候が大きく変わってしまう。それが【ダイマミツ区】なのだ。その為、【ダイマミツ区】の人口は数千人らしい。

灯台の扉を二回ほど叩くと、中から出てきたのは中年の男性だった。

「…なんでい、おめぇらは。」

その男の声は、野太く、痰が絡んだようなガサガサ声。

「突然すみません。こちらでホッカイ島へ行く海上機関車が出ていると聞いたんですが…」

すると男は、隊長さんが話している途中で背を向けた。

「おめぇらベアーズロックだな?けえれ。ホッカイ島には行かせられねぇ。」

「どうしてですか?」

「どうしてだぁ?ホッカイ島はな、おめぇらベアーズロックが逃げ出したせいでとんでもねぇ数のベアが群がってるんじゃい!とてもじゃねぇが岸に機関車なんか停められねぇんだ!わかったらとっととけぇれ!」

男は怒鳴り散らし、まともに話さえできる状況では無かった。

すると、後方から「失礼するよ」と女性の声が聴こえ、私や隊長さんの間を抜けて行った。

「私達は逃げ出した訳では無い。あの時の体制では全滅すると判断したのだ。組織を改めて構築し、私達は舞い戻ってきた。だからここにいる。」

その後ろ姿は、彼女達がナウチー村に来てから何度も見た姿であった。

「…サマー軍団長。」

「私達が命に懸けて貴方と機関車を守ると約束しよう。ホッカイ島に行っては貰えないだろうか。」

男は少し黙り込むと再び口を開いた。

「しかしだなぁ…魔鉱石がねぇと海上機関車は走らねぇんだ。近頃こっちもベアが多発してるべぇ?そのせいで魔鉱石を取りにも行けねぇんだ。」



「魔鉱石ならここにありますっ!」



扉の外には雨に打たれながらも肩を組みながら歩み寄る者達がそこにはいた。

「…お前達。」

先頭の女性の手には、手に収まる程の蒼く輝く石があった。

「…あれが魔鉱石。」


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