#52 終戦
【イマ対影のベア】
航空機を飛び降りた際、イマは上空で決着を付けようとした。
陽を浴びている内にダメージを与えようと考えた。
しかし、イマを縛り付けている影は決して離そうとはしなかった。
何度も斬られる影のベアと強い力で縛られるイマ。
この決着はすぐに着いた。
影のベアは何度も斬られた痛みに耐えられず、出血多量により死亡した。
影のベアは姑息な技量はあるが、防御力がかなり低かった模様。
地に落下した時は水のように弾け飛んだ。
そして、イマは両腕の骨と肋骨を骨折した。
先に影のベアが死亡した事で縛りからは開放された。地に落下する前に羽を動かし、一命は取り留めた。しかし、代償は大きく、激痛がイマを襲った。
耐え切れなかったイマはその場に倒れ込み、意識を失った。
【イケ対百獣のベア】
イマや影のベアよりも先に落下したイケ。
百獣のベアの破天荒な飛行にしがみつきながらも、身体を何度も刃で突き刺した。
痛みに耐え切れなかった百獣のベアは、イケと共にとある湖に落下した。
湖から顔を出すと、百獣のベアは殺意を向けていた。
羽根を上手く動かせず、イケはじたばたと沖を目指した。
百獣のベアは泳ぎも上手く、イケの何倍もの速さで追い掛けて来た。
あと一歩で殺されそうになった時、百獣のベアは湖の中へと沈んで行ったのだ。
何故そうなったのかは彼の声で気が付いた。
「イケ、大丈夫?」
やっとの思いで辿り着いた沖には、なんとアキが立っていたのだ。
だが、どことなくベアの臭いがした。顔はアキなのに中身はアキではなかった。
しかし、彼の差し伸べた手に僕はしがみ付いた。
【セイラ対叛逆のベア】
イマやサマーと別れたセイラは、天使のように美しいベアに姿を変え、直ぐさま叛逆のベアの元へと向かった。叛逆のベアの前に姿を見せても、叛逆のベアは動きを止めない。
「今楽にしてあげる。」
天使のように美しいベアは、大きな翼と輪っかを出現させた。
刃の周りを五つの金色の輪が囲う。
刃を振り払った時、五つの金色の輪は叛逆のベアを斬り裂いた。
棒立ち状態となった叛逆にベアの上には神秘のベール。
四人の天使が叛逆のベアを囲うように舞い降り、そして空へと運び始めた。
空へと近付くと叛逆のベアの姿は消え始め、次第に元の人間の姿へと戻って行った。
意識が朦朧とするヤマにセイラは駆け寄り、ヤマは安らかな眠りについた。そして、天に消えていった。
そして、全ての闘いを終えたセイラは地上へ落下した。天使の羽が解除され、全身に痛みが走る。彼女ははそっと目を閉じ、脱出した隊員達の無事を祈った。




