#17 類は友を呼ぶ。
現在のベアーズロック、総隊員数七十四名。
軍団長は、心を読むベアと交戦中。
イマ隊長、テイル隊長、マエキヨ隊長に続き、各部隊の隊員達は森へと逃げ込んだ。
隊員は木や水に隠れ、隙を見てベアを襲撃した。
しかし、ベアは無数に溢れていた。
キリがないと思った時には、もう既に遅かった。
ベアーズロックは、森の周りを囲まれてしまったのだから。
無知能のベアならば何とかなるかもしれない。
─── だが、変異種が出たら?
ベアーズロックは、絶望の淵に立たされたのだ。
俺は、ついカッとなってしまう癖がある。
にしても、まさかイケがあんな事を思っているなんて思いもしなかった。
心のどこかで俺はイケを舐めていたのかもしれない。
いつ死んでもおかしくないこの状況で、喧嘩なんかしていては絶対に後悔してしまう。
「…謝りに行くか。」
重く感じる羽根を広げ、再び森の中へと飛び立った。
俺は、ベアには到底届かない高さで移動している。無数の木が立ちはだかる中、俺はそれを左右に避けながら進行する。
少し広い場所に出た時に急停止し、辺りを見渡す。
「…昨日はこの辺にいた気がしたが。」
「おやおや、何か困ってらっしゃる。」
声のした方向を見た時、俺は口から心臓が出てくるのではないかと思った。
不気味な笑みを浮かべた大顔の女がこちらを凝視しているのだ。それに身体は、腕が六本あり、蜘蛛のような形をしていた。
「死の森へいらっしゃい♡」
女の顔は歪に形を変え、最終的にベアの姿へと変わった。
「…!?」
──身体が、動かない!?
全力で四肢を動かそうとするもビクともしない。
「可哀想な坊や。まだ若いのに、この私に食べられちゃうなんて♡」
こんな時、ベテラン戦闘員であれば自力で何とか出来るのだろう。
だが、俺には何の秘策も無い。
自然と零れる溜息に、俺の思考回路は後悔で埋め尽くされていた。
「…最後くらい…イケに謝りたかった…。」
情けない程に涙が溢れた。
「じゃあ、いただきまーす♡」
目を閉じてから、謎の間が続いた。
薄く目を開くと、そこにはベアの姿はなかった。
正確には、顔だけがなかった。
「…すみません。彼を、引取りにきました。」
その場に立っていたのは、全身血塗れになった幼なじみだった。
「…お前…なんで。」
「…喧嘩別れはしたくないから。」
幼なじみとは、こういう事なのかもしれない。
親友とはまた違った存在。家族でも、友人でもない。
切りたくても切れない線で繋がっている。
俺達はそっと手を差し伸べた。
この時の俺は、多分人生で一番微笑んでいた。
だけど、俺の記憶はここで終わった。
あれ?手…届いたっけ?
何か…首が…熱くて……痛…くて…苦しく…て……。
でも、イケはそこに居るって分かってるから。
俺達は二人でいれば最強だから。
だから…。
──類は友を呼ぶって言うじゃん?ルイだけに!
次回もお楽しみに!




