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ベアーズロック-神々の晩餐-  作者: ゆる


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18/42

#17 類は友を呼ぶ。


現在のベアーズロック、総隊員数七十四名。

軍団長は、心を読むベアと交戦中。

イマ隊長、テイル隊長、マエキヨ隊長に続き、各部隊の隊員達は森へと逃げ込んだ。

隊員は木や水に隠れ、隙を見てベアを襲撃した。

しかし、ベアは無数に溢れていた。

キリがないと思った時には、もう既に遅かった。

ベアーズロックは、森の周りを囲まれてしまったのだから。

無知能のベアならば何とかなるかもしれない。


─── だが、変異種が出たら?


ベアーズロックは、絶望の淵に立たされたのだ。



俺は、ついカッとなってしまう癖がある。

にしても、まさかイケがあんな事を思っているなんて思いもしなかった。

心のどこかで俺はイケを舐めていたのかもしれない。

いつ死んでもおかしくないこの状況で、喧嘩なんかしていては絶対に後悔してしまう。


「…謝りに行くか。」


重く感じる羽根を広げ、再び森の中へと飛び立った。


俺は、ベアには到底届かない高さで移動している。無数の木が立ちはだかる中、俺はそれを左右に避けながら進行する。

少し広い場所に出た時に急停止し、辺りを見渡す。

「…昨日はこの辺にいた気がしたが。」


「おやおや、何か困ってらっしゃる。」


声のした方向を見た時、俺は口から心臓が出てくるのではないかと思った。

不気味な笑みを浮かべた大顔の女がこちらを凝視しているのだ。それに身体は、腕が六本あり、蜘蛛のような形をしていた。


「死の森へいらっしゃい♡」


女の顔は歪に形を変え、最終的にベアの姿へと変わった。

「…!?」


──身体が、動かない!?

全力で四肢を動かそうとするもビクともしない。


「可哀想な坊や。まだ若いのに、この私に食べられちゃうなんて♡」


こんな時、ベテラン戦闘員であれば自力で何とか出来るのだろう。

だが、俺には何の秘策も無い。


自然と零れる溜息に、俺の思考回路は後悔で埋め尽くされていた。

「…最後くらい…イケに謝りたかった…。」

情けない程に涙が溢れた。


「じゃあ、いただきまーす♡」


目を閉じてから、謎の間が続いた。

薄く目を開くと、そこにはベアの姿はなかった。

正確には、顔だけがなかった。


「…すみません。彼を、引取りにきました。」

その場に立っていたのは、全身血塗れになった幼なじみだった。


「…お前…なんで。」

「…喧嘩別れはしたくないから。」


幼なじみとは、こういう事なのかもしれない。

親友とはまた違った存在。家族でも、友人でもない。

切りたくても切れない線で繋がっている。


俺達はそっと手を差し伸べた。


この時の俺は、多分人生で一番微笑んでいた。


だけど、俺の記憶はここで終わった。

あれ?手…届いたっけ?

何か…首が…熱くて……痛…くて…苦しく…て……。


でも、イケはそこに居るって分かってるから。

俺達は二人でいれば最強だから。

だから…。


──類は友を呼ぶって言うじゃん?ルイだけに!



次回もお楽しみに!

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