表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ベアーズロック-神々の晩餐-  作者: ゆる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/42

#16 最後の雄叫び


軍団長に続き、ベアーズロック戦闘部隊は、ベアの群れへと突撃した。

軍団長や各隊長は群れたベアを颯爽と討伐し、先へと進んだ。優れた隊員も次々と討伐し、後へと続いた。

「ああああああああぁぁぁッ!!!」

力の無い戦闘隊員は目の前でベアの食事となり、あちらこちらで断末魔が響き渡っていた。


「…貴様が今回の司令塔か!」

軍団長の言葉に黒い毛と所々にスカイブルーの色を纏ったベアがケラケラと笑いだした。


「まあ確かにそうですね。この場では私が司令塔になるのかな。どうやら貴方も軍を束ねているみたいですね。どうです?私と闘ってみますか?」


──こいつは俺を舐めている。

俺の脳の血管ははち切れそうになった。


「舐めるなぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!」


勢いよく抜いた刃をベアは軽々と受け止めた。


「そうでなくっちゃっ!!!」




軍団長がスカイブルーのベアと戦闘を開始した時、一番帯、三番帯、五番隊はそれぞれ違う方向へと飛び立った。

「各部隊全員に告ぐ!ここから先は命の保障はない!軍団長の指示が無い今、己に出来る事をやり遂げろ!何としても民を守るんだ!それがホウジンゾクだ!」


イマ隊長の命令に全隊員が「ハッ!」と声を揃えた。


そこら中にいるベアを倒しながら、各部隊は羽根を休まずに進行した。


「森だッ!森に突入する!全隊員、健闘を祈る!」


これが、イマ隊長の最後の指令となった。

森が深く距離が出来ると、ホウジンゾクの通信に障害が生じる。

ここからは本当に各自自己責任、己の力で乗り越えなければいけない。



「って…僕はこんな悠長に語ってていいのか?もう皆とはぐれて二日も経ったのに。」

僕は今、森の中を彷徨っている。

一応こんな僕でも今は、テイル隊長の三番帯に属している。

「イケっ!こんな所で何している!」

上空から聞き覚えのある声が響く。

「ルイっ!良かったぁ…二日も誰にも会えなくてさ。」

しかし、ルイの表情はどことなく暗かった。

「イケ…アキやシオナ、オリカが失踪して、俺達の世代はもう六人しかいない。」

「え?うん…知っているけど…。」

ルイが何を言いたいのか、僕はよく分からなかった。

しかし、深呼吸の後、それは明らかになった。

「…アユとカエデが死んだそうだ。」


────。


僕は一瞬、声が出なかった。

「…キリは…大丈夫なの?」

僕は、亡くなった二人より、キリの心配をしてしまっていた。

「…お前…仲間が死んだのに、自分の恋路の方が大事なのかよ…」

僕はすぐに否定しようとした。

だが、それよりも前にルイに胸ぐらを掴まれた。

「運良く三番隊になれたからってな、調子乗るなよ?グズでノロマで何も出来ないお前が、こんな所に居られるだけで奇跡と思えよッ!」


──誰のせいでこうなったと思ってるんだよ。


ハッとした時、既にルイは呆然としていた。

この瞬間、僕は心の声が口から出たのだと悟った。


「…昔からそうだ。ルイはいつも僕の邪魔ばかり。」

口が止まらなかった。

幼なじみのルイ、僕は彼とずっと一緒だった。

いつからか当たりの強くなったルイだけど、それでも僕は彼を友達と思っていた。


──母さんを見捨てるまでは。

「お前さえ居なければ、母さんは助かったんだ。お前があんな所に居たばっかりにッ!」


僕は人生で初めて胸ぐらを掴んだ。

そして、初めてルイを殴った。


気が付けば辺りは暗くなり、僕はまた一人ぼっちの夜を迎えた。


「…アキ…どこにいるんだよ。」



お久しぶりの投稿でございます!

次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ