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#15 クッシーと祠の謎


僕とエアは互いを見失わないよう、姿が見える範囲内で探索を開始した。乾き果てた荒野の為、そうそう変わったものは見つからないが、一つ気になる看板を見つけた。

「…クッ……湖へ……そ?」

その看板は木で出来ており、腐ってしまいボロボロの状態だ。微かに見える文字もあるが、土の汚れも古く解読は難しい。

「…もしかして。」

エアは何かに気付いたのか、微かに海の見える方向へ飛び立った。僕もそれを追うように飛び立った。

空中で並んだ時、エアは島を見下ろして苦笑いを浮かべていた。エアの見る方向へ僕も顔を見下ろした。

「…これは…どういう事だ…。」

僕達は、王都サホロの隣に位置するホッコウ島という所にいたのだ。しかし、今僕らが見下ろしている位置は、王都サホロより遥か東に位置する所だった。

「…遥か昔、ここには湖が存在していたのよ。その湖には、特定の人物しか出会えないという未確認生物が存在していたらしいの。その未確認生物の名前がクッシー、ここはかつてのクッシャオ湖跡地よ。つまりさっきの看板は、【クッシャオ湖へようこそ】だったのよ。」

「…ちょっと待ってよ。てことは僕達が出会ったクッシーって…。」

エアは真顔でこちらを見返していた。

「…幻覚…または幽霊としか。そもそもホッコウ島に湖なんてあったかしら?いえ…無かったはずよ。私達だけじゃない、この島を生きている全員が幻覚を見せられていたのよ。」

「何の為に?」

「分からないわ。少なくとも私を人間にした理由には繋がるんじゃないかしら。」

そう言ってエアは王都サホロの方角へと方向転換し、少しずつ地上へと降下した。それに続くように僕も後を追った。


「…ここは。」

降り立ったのはホッコウ島。辺りは自然で埋め尽くされ、大自然の中心には大きな穴が空いていた。中を覗き込むと、一つの祠が存在していた。

僕とエアは言葉を交わさず、穴へと入り祠の前へと降り立った。

その祠には、九名の人物の名前が記載されていた。

ヒロ、アサヒ、ヤカ、キーナ、オカ、ブンジ、タロウ、アイ、シホと順に記載されている。

すると、突然エアが頭を押さえて膝まづいてしまった。

「どうした!」と急いで駆け寄るも、苦痛表情を浮かべ「頭がッ」と繰り返す。

僕は直ぐ様エアを抱えて、祠の穴を出た。

地上に出ると、エアの頭痛は落ち着いた。しかし、未だに放心状態でいる事には変わりない。

「…祠の名前見て、何か分かったの?」

エアは再び片手で頭を押さえながらも笑って答えた。

「何故かは分からないけど、あの名前を見たら急に頭痛が襲ってきたの。まるで大事な何かを忘れてしまっているような感覚だったわ。特に最後に書かれていたシホという名前…あれは…うぅっ!」

エアは頭痛と同時に吐き気も催した。

「すまない!もう充分だ!さっきの祠の事はもう忘れよう。」

僕の言葉にエアは安堵の表情を見せた。


エアにはもう聞けないが、祠の九人の名前。

「…そういえば、新種のベアの数も九種類。」

祠の名前は、ベアと何か関係があるのかもしれない。

そして、あの祠は最初にクッシーと出会った場所だ。

クッシーは、エアを人間に戻した事でベアの正体に気づいて欲しかったのか?その為に僕達を祠へと誘導した…何故?

僕はエアを担いだまま、ホッコウ島を後にした。


次回もお楽しみに!

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