……全く、お人好しだなぁ。
「……うーん、よく分からないかな。でも、あの日は朝からちょっと体調悪かったから、たぶんそれが原因かなとは思うけど」
ともあれ、そんな返答をする。……うん、嘘は言ってない……よね? 実際、明確な理由までは断言出来ないし、あの朝ちょっと……いや、わりと体調が悪かったのもほんとだし。それこそ、生まれて初めて授業に遅れる程度には――
「……ねえ、久谷さん。もちろん、君のプライバシーに関わることだし、無理にとは言えない。だけど……もし良かったら、話してくれないかな? 久谷さんの抱えていること。どんな話でも、絶対に受け止めるから」
「…………先生」
すると、私の瞳を真っ直ぐに見つめそう口にする由良先生。私を真っ直ぐに見つめるその綺麗な瞳から、これ以上もなく真摯な思いが伝わって――
……全く、お人好しだなぁ。どうせ、分かってるくせに。私が何をしたのか、とっくに分かってるくせに。そして、それは貴方にとって到底許し難いことのはず……なのに、それでも貴方はそうやって……うん、そういうことなら――
「……そっか。うん、そこまで言ってくれるなら、聞いてもらおっかな。でも、分かってると思うけど……お世話にも、楽しい話とは言えないからね?」
そう、悪戯っぽく告げる。すると、彼は柔らかな微笑で頷いてくれた。




