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お礼……というわけでも――
「……ところで、由良先生。その、色々とありがとうございます」
「ん? 急にどうしたの蒔野さん?」
すると、食事を終えた辺りで不意にそう口にする蒔野さん。まあ、その色々というのは流石に察せられるけれど……でも、どうして今――
「……それで、お礼……というわけでもないし、お礼だとしても全然足りないと承知していますが……その、もし宜しければ、お弁当を……」
「……蒔野さん」
そう、目を逸らしつつ話す蒔野さん。心做しか、その白い頰が染まっているように見受けられて。
……まあ、流石に分かる。彼女が、何を言おうとしているのか。なので――
「……うん、ありがとう蒔野さん。楽しみにしてるね」
「……っ!! はい、是非!」
そう答えると、パッと弾けた笑顔でそう口にする蒔野さん。お礼なんていらない……と言うか、そもそも僕の方こそ彼女に感謝してるくらいなんだけど……でも、ここで断るのもそれはそれで違うと思うし……それに、本当に楽しみだしね。




