二人の時間
「……今日も、来ないのかな」
あれから、およそ一週間後。
そう、ポツリと呟く。そんな僕がいるのは、例によって屋上――そこの小さなベンチに腰掛け、一人の女子生徒を待っているわけで。
だけど、その女子生徒――蒔野さんは姿を見せる気配もない。そして、この状況はここ一週間――彼女が再登校したあの日を最後に、ここ一週間ほど続いていて。
とは言え、彼女が屋上に来ないこと自体に何ら問題があるわけじゃない。そもそも、当然ながらここに来なくてはならない義務なんてないし。
だから、ただ来なくなっただけなら構わない。もちろん、僕としては少し……いや、凄く寂しいけれど、それはあくまで僕側の都合。何処で誰と食事を共にしていても、僕と一緒にいる以上に充実した時間を過ごせているなら、当然ながら僕としては歓迎すべきことで。
だけど……この一週間、毎日のように目にしたのは、中庭のベンチで一人昼食を取る蒔野さんの姿で。もちろん、一人でいるから駄目だとかそういう話じゃない。彼女自身が一人を望むなら、それはもちろん尊重すべき気持ちだし。……ただ、その姿がどうにも寂しげで、悲しげで、儚げで――




