……ねえ、どうすれば良いの?
――あれ以上の苦痛なんて、ないと思っていた。
あれ、とはもちろんあの頃――私のせいで一人の尊い命が失われ、四方八方から刺すような視線を向けられ続けたあの中学時代のこと。実際、あの頃よりも苦しかったことなんて、それまでの人生で一度もなかった。この苦痛がなくなれば、どれほど楽に……なんて、そんな資格もないくせに叶わぬ願望を浮かべたりもして。
……だけど、違った。そもそも、思い返せば――苦痛がなかった頃なんて、ただの一度もなかった。ただ、別の苦痛に取って代わるだけ。肺の中の空気を全て吐き出したつもりでも、すぐさま新たな空気が肺を満たしていくように――苦痛を全て吐き出したつもりでも、すぐさま新たな苦痛が心を満たし飽和する。
――そして今、私は苦しい。本気で死のうと思ったあの頃さえ霞むほどに、グサリと刺すような痛みがこの胸を貫いたまま離れない。
……ほんと、酷い人間だと改めて思う。人ひとりの死に関与してしまった罪悪感より、無くても一向に差し支えなんてない一個人の恋心が叶わない悲痛の方が、私にとって比にならないほど重大なんて。……だけど、それでも――
「……ねえ、どうすれば良いの? 教えてよ……先生」




