私が気になったのは
そういうわけで、校舎へ足は向かず……さりとて、事情の知らない父に心配をかけるわけにはいかないので、夕方頃――平時の帰宅時間くらいまでは、どこかで時間を潰す必要があるわけで。……ところで、心配をかけないようになんて言ったけど……後から思えば、ただ打ち明けるのが怖かっただけかも。
ただ、それはそれとして……怖かったと言えば、もう一つ。と言うのも……私は平時の通り学校に行っていることになっているので、当然ながら服装は制服――そして、本来学校にいるはずの時間に制服姿で街を歩いている状況。もしも、警察に出会してしまったら間違いなく補導……そんな、父に心配どころか迷惑をかけてしまうような展開はどうにか避けなければ――
『…………ん?』
そんな警戒の最中、ふと声を洩らす。そんな私の少し前には、杖をついてゆっくりと歩くご年配らしき男性。尤も、それだけであれば目を留めることもない。ただ、私が気になったのは、彼の足取りが何とも覚束なく――
『……っ!!』
直後、ハッと息を呑む。注視していた男性が、不意にバタリと倒れたから。考えるより前に、身体が動いていた。俄に周囲が騒がしくなる中、一目散に男性のもとへと駆け寄る。そして――




