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思いも寄らぬ状況で。
――まあ、それはともあれ。
「……私に対するクラスメイトの視線が、私の想定していたものとは大きく異なっていたのですが? 最初に入室したあの時も、その後もずっと」
そう、再び彼の目をじっと見つめ告げる。尤も、想定と異なっていたというのは、決して悪い方にというわけではなく。
……正直、覚悟はしていた。中学の頃のような、嫌悪や恐怖といった負の感情を四方八方から向けられる覚悟はしていた。それでも、彼が――由良先生が傍にいてくれるならと、どうにか恐怖を抑え教室まで足を運んだわけで。
――だけど、違った。何と形容すれば良いのか、私自身定かではないけれど……恐らくは、困惑。私に向けられた視線の多くは、困惑のような感情を孕んでいて。中には、逡巡しつつも私のもとへ訪れ称賛の言葉をくれた生徒まで。そして、その理由は――
「――もう一度尋ねますが、貴方の仕業ですよね? 恐らくはクラスメイト全員が、例の件についてご存知なのは」




