32/242
久方ぶりの
「…………ふぅ」
ある平日の朝の頃。
深く呼吸を整え、どうにか緊張に対処する。そんな私がいるのは、教室の扉の前――もう随分と久しい気のする、一年二組の教室の扉の前で。
『――無理はしないで良いからね、蒔野さん。急がなくて良い、自分のペースで良い、来れるようになったらで良いから。僕は、いつでも待ってるから』
あの日――文字通り命を救ってもらった日の帰り道にて、あの暖かな微笑で由良先生が言ってくれた言葉。なので、そんな彼に甘える形で……それでも、あまり心配させるわけにもいかないので意を決して教室までやってきたのが、あの日の三日後の今日で。




