……そう、同じなんだ。
僕の言葉に、ポカンと目を見開く蒔野さん。先ほどとは比べ物にならないような、まさしく鳩が豆鉄砲を食ったような表情で。だけど、それからややあって――
「……あの、先生。いったい、何を言って……」
そう、呆然と呟く蒔野さん。……まあ、そうなるよね。ともあれ、再び彼女の疑問に答えるべく口を開いて――
「……うん、言葉の通りだよ蒔野さん。もし君が贖罪のために、自ら命を絶つようなことがあれば――僕も、自ら命を絶つ。じゃないと、教師として生徒に示しがつかないからね」
そう、真っ直ぐに彼女を見つめ告げる。すると、ややあって少し俯く蒔野さん。心做しか、肩が……いや、身体が少し震えているような――
「……そんなの」
「……ん?」
「……そんなの、認めるわけないじゃないですか! 冗談もほどほどになさってください! なんで貴方が死ぬ必要が――」
「……僕も、君と同じだからだよ」
「…………私と、同じ……?」
出会っておよそ二ヶ月――初めて聞いた、蒔野さんの叫び声。……まあ、叫びたくもなるよね。それくらい、わけのわからないことを言ってる自覚はあるし。それでも……僕の中では、明確な理由があって。
「……そう、同じなんだ。僕も、君と同じ――僕のせいで、一人の尊い命が失われた。僕が、殺したも同然なんだ」




