彼女らしい優しさ
「……全く、何を考えているのやら。これ、出席するんですか? 恭一さん」
「うん、そのつもりだよ。有栖は?」
「……決まってるでしょう。貴方が出るなら、私も出ます。不本意ではありますが」
ある休日の昼下がり。
そう、ありありと不満そうに告げる有栖。そんな彼女の手には、上質な素材で作られたであろう一枚の用紙――つい最近めでたく入籍したという、薺先輩からの結婚式の招待状で。そして、お相手はもちろん――
ところで――薺先輩は本来、彼と共に自首するつもりだったらしい。僕が眠っていた二日目、病室にいた有栖にその旨も伝えたみたいで。
そして、自首を有栖が止めた。それが、僕のためであることは流石に疑う余地もなく……うん、何とも彼女らしい優しさで。
……まあ、有栖の気持ちも分からないではない。もちろん僕が悪いのだけど、薺先輩の行動もきっと褒められたものとは言えない。いったい、どんな顔で僕らに……なんて思っているのだろう。なので、気持ちは分からないでもないのだけど――
「……まあ、許してあげてよ有栖。きっと、これが先輩なりの誠意なんだと思うし」




