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流石に気が早いかな?
「……ごめんね、恭一くん。本当なら、有栖と二人で過ごしたいだろうに」
「いえ、謝らないでくださいお父さま。むしろ、僕の方こそすみません。親子水入らずのところをお邪魔してしまって」
それから、ほどなくして。
リビングにて、言葉の通り申し訳なさそうに微笑みそう口にするお父さま。この三年、もう幾度も繰り返されてきたやり取りで。彼からすれば、僕こそが邪魔者だろうに……本当に優しい人だと何度でも思う。
移住の話になった際、お父さまは許してくださるだけでなく、なんと自分はいいから有栖と僕の二人で住むように仰った。それが、僕らのであることは明白だった。
だけど、彼女も僕もお父さまを独りにするつもりなんて毛頭なかった。なので、固辞するお父さまを二人でどうにか説得し三人で一緒に住むことに。関係は良好だと思うのだけど、出来ればもっと仲良くなれたらと。僕自身、とても尊敬している人だし、近い内にお義父さまになる人だし……うん、流石に気が早いかな?




