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狂った針は戻らない  作者: 暦海


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232/242

心からの言葉を。

「ところで、由良ゆら先生。今後、決して約束を破らないのはもちろんとして……今回、悲しくも違えた件を許してあげる代わりに、一つお願いをしたいのですが」

「……うん、もちろんだよ。何かな?」


 それから暫しして、何処か悪戯っぽい笑顔でそう口にする蒔野まきのさん。……うん、なんだか少し嫌な予感もするけど……でも、関係ない。彼女が満足してくれるならもちろん何でもするつもりだ。

 ……ただ、それはそれとして……その綺麗な頬が朱に染まっているのは、果たして気のせ――



「――それでは、言ってください。あの時、藤宮ふじみや先生に伝えた言葉を、今ここで」

「……へっ?」


 突然の思わぬ言葉に、ポカンと口を開く僕。……えっと、それはいったい…………ん、まさか――


「……えっと、蒔野さん。どうして、それを……」

「ええ。二日前の夕さり頃、藤宮先生が病室こちらを訪れまして。もちろん、先生の状態を確認するためですが……その際、私に色々と教えてくれたんです。貴女には、伝える義務があるからって」

「……そっか、なずな先輩が……」



 蒔野さんの説明に、すっと納得を覚える僕。うん、それは何と言うか……先輩らしいな。

 ともあれ、今か今かといった様子で待ち構える蒔野さん。有無も言わさぬその笑顔に、少し困惑――それでいて、ふっと微笑ましくなる。そんな彼女のを、真っ直ぐに見つめ告げる。ずっと言えなかった、心からの言葉を。



「――遅くなってごめんね、蒔野さん。僕は……誰よりも、蒔野有栖(ありす)が好きなんだ」

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