……もう、絶対に――
「…………蒔野さん」
そう、俯いたまま告げる蒔野さん。その声が……身体が、小刻みに震えていて。死ぬつもりはなかった――なんて、何の言い訳にもならない。これだけ不安にさせてしまった時点で、完全に僕の責任。だから――
「……本当に……本当にごめん、蒔野さん」
そう、深く頭を下げる。謝って許されることじゃない――それは、もちろん分かってる。それでも……今、僕に出来るのは――
「……でも、良かった」
「……へっ?」
すると、さっと立ち上がり僕を抱き締める蒔野さん。そして――
「……良かった……先生が、ご無事で……ほんどに、よがっだ……」
「…………蒔野さん」
そう、声を震わせ告げる蒔野さん。生暖かい雫がポツリポツリと、柔らかなその頬から僕の頬へと伝い流れてくる。……きっと、ずっと堪えていたのだろう。この四日間、ずっと――
……ほんとに駄目だな、僕は。大切な人との、大切な約束一つ守れず、こうして……だから――
「……本当にごめん、蒔野さん。もう、信じてもらえないかもしれない。それでも……それでも、今度こそここに誓う。もう、どこにも行かない……もう、絶対に離れないから」
そう、ぎゅっと抱き締め告げる。すると、いっそう強く僕を抱き締める蒔野さん。そして、潤んだ声で小さく答えてくれた。




