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……これで、分かったでしょう?
「……あとは、お話した通りです。ほどなくして気が付くと、私の視界には真っ赤な血を流し微動だにしないクラスメイト、藤本さんの姿が映った次第です」
「……蒔野さん」
そう、変わらぬ自嘲的な微笑で締め括る蒔野さん。そして、ようやく理解できた。これが、彼女の最も深いところに根を張っている罪悪感なのだと。
「……これで、分かったでしょう? 例の噂の通り、私は醜い人殺し……本来、生きていてはいけない人間なんです」
「――っ!! そんなことな――っ!!」
衝撃の――そして、どうあっても許容できないその言葉に否定の意を示そうとするも、不意にピタリと止まる。いや、言葉だけでなく思考も……呼吸も止まる。何故なら――僕の言葉を遮るようにさっとポケットから取り出した小さな刃物を、雪のように白い自身の首筋へと突き立てていたから。




