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似つかわぬ場所
「――すみません、お待たせしました」
「ううん、私も今来たとこだから……なんて、なんだか久しぶりのやり取りだね。まあ、ほぼ立場は逆だった気がするけど」
それから、一時間ほど経て。
すっかり夜の帷が下りた頃、さながらデートのようなやり取りを交わす僕ら。尤も、デートの待ち合わせにはあまり似つかわぬ場所――とあるマンションの広い屋上ではあるのだけど。
ともあれ、じっと目を見つめ尋ねる。例の発信相手たる、鮮やかな茶髪を纏う優美な女性へと。
「……それで、どういったご用でしょう……薺先輩」




