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心配ではあるけれど。
「……あの、改めてですが申し訳ありません。事をいち早く解決するためには、すぐにでも警察に連絡した方が良いことは承知しているのですが……」
「ううん、気にしないで。蒔野さんの懸念は分かっているつもりだし、僕もお父さまが心配だしね」
「……由良先生……はい、ありがとうございます」
間もなく食事を終えそうな頃、躊躇いがちにそう口にする蒔野さん。だけど、言うまでもなく謝罪も感謝も必要ない。尤も、こちらとしては警察に伝えないことで彼女自身がいっそう不安や恐怖に苛まれないか甚く心配ではあるけれど。




