210/242
いつか唸らせて見せますから。
「……それにしても、本当にお上手ですよね由良先生。正直、料理の腕に関しては私に分があると思っていたのに」
「ありがとう、蒔野さん。でも、蒔野さんの方が上手いと思うけどね」
「……またそのようなお世辞を……いえ、本心かもしれませんね。貴方の場合」
それから、数十分後。
食卓にて、何処か悔しそうな表情で告げる蒔野さん。だけど、最終的に自身で訂正したようにお世辞を言ったつもりはない。以前お弁当を頂いた時から分かっていたけど、彼女は本当に料理が上手い。今日だって、彼女のお陰でこんなにも――
「……まあ、良いでしょう。でも、いつか本当の意味で唸らせて見せますから。例え、何十年かかっても」
「……蒔野さん」
すると、何処か不敵に微笑み告げる蒔野さん。そんな彼女に、僕も同じく微笑んだ。




