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……うん、すごいなぁ。
「――それでは、どうぞお好きなところへ。お飲み物は何が良いですか? とは言っても、緑茶と珈琲しかありませんが」
「うん、ありがとう。それじゃ、珈琲でも良いかな?」
「はい、畏まりましたご主人さま」
「いやメイドさんじゃないんだから」
その後、ほどなくして。
クレマチスの花が優しく彩るリビングにてそんなやり取りを交わした後、可笑しそうに微笑みつつキッチンへ向かう蒔野さん。そして、慣れた手つきでコーヒーミルに豆を……あっ、そこからやるんだ。なんか本格的というか……うん、すごいなぁ。




