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狂った針は戻らない  作者: 暦海


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僕のすべきこと

「……さて、どうしようか」



 その日の放課後のこと。

 昇降口を出た辺りで、ポツリと呟きを零す僕。まあ、何をするかは決まっているんだけど……どうしようかというのは、その方法についてで。


 ちなみに、あの言葉の通り後ほど――昼休み、例の件にて久谷さんが教えてくれて。具体的には、僕のスマホに例のメールを送ってくれた。口頭での説明だと多少なりとも誤解が生じるかもしれないし、何より校内で話すと万が一にも誰かの耳に入る可能性があるからという彼女の有り難い配慮だった。


 ところで、本来であれば教師ぼく個人の連絡先を生徒に教えるというのはあまり褒められたことではない――と言うか、普通にご法度なのかもしれないけれど……まあ、今回は事情が事情ということで、どうかご寛恕頂けたらと。



 ともあれ、何をするかというと――今、何処にいるかも定かでない蒔野さんの下へと向かうことで。と言うのも……蒔野さんだけでなく、彼女の親御さん――現在は、一人で彼女を育てているお父さまからも何の連絡もないから。


 お父さまは、以前は大学の教授として勤務なさっていたとのこと。だけど、10年ほど前のお母さまとの離婚を機に、幼い一人娘である蒔野さんを寂しくさせないよう自宅で出来る仕事――例えば、翻訳の仕事などに徐々に切り替えていったとのことで。


 尤も、その幼い娘さんも今や高校生――もう在宅の仕事にこだわる必要もないのだろうけど、すっかり翻訳それが本業になった現在いま、わざわざ在宅それを辞める必要もないようで。



 さて、随分と回りくどくなってしまったけど――つまりは、蒔野さんが家にいるのであれば、家にいるであろうお父さまからその旨――欠席の旨を伝えるご連絡があるだろうということ。もちろん、その際も例のメールを考慮すれば欠席の理由まではお話し出来ないかもしれないし、そもそもお父さまご自身も事情を知らない可能性が高いと思う。


 そして、連絡がないということは――恐らくは、蒔野さんが家にいないということ。もちろん、彼女自身がお父さまに学校に連絡しないよう頼んだ可能性もないとは言い切れないけど……でも、あくまで憶測だけど、そうする理由なんて別段ないように思えて。正直、それよりも――お父さまに心配を掛けぬよう、普通に学校に行く時間に家を出た後どこかで時間を潰している、と考える方が、僕のイメージする彼女の印象とも符号する気がして。


 まあ、それはともあれ……さて、どうしようか。探すといっても、彼女の行きそうな場所にまるで見当がつかない。さて、どうしよう……うん、やっぱり一つしかないよね。




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