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飾り付け
「ふんふんふーん」
「ふんふふふふーん」
「…なあ、そなたらはそんなにご機嫌になにをしている?」
「あ、お館様ー」
「お館様ー」
藤原兄妹はお館様ににっこり笑う。
手に持った花はそのままに。
「橘殿が気持ちよさそうにお昼寝してるから、飾り付けしてたのー」
「御髪にたくさん花を乗せてたのー」
「…どれ、面白いから絵にでも残してみるか」
お館様がどこからかいそいそと筆と硯、紙を用意して橘を描き始める。
それに合わせて花の飾りは適当に完成させて、お館様を挟むように隣に座る藤原兄妹。
「お館様上手ー」
「お館様素敵ー」
「これでも芸術の心得はある」
さらさらと筆を動かすお館様。
完成した絵は素晴らしくメルヘンチックな橘をそのまま表現していた。
「お館様ー、これ念写していいー?」
「よい、許す」
「わーい」
「わーい」
こうしてメルヘンチックな橘殿の絵は複製されまくり、藤原兄妹によって屋敷内のあちこちにばら撒かれた。
橘は、お館様も共謀していたためなにも言えずに地団駄を踏んだ。