勇者とりあえず独立を考える
たとえ過労死したとしてもだ。
と構造改革を決意したけれども、
状況はそう簡単ではない。
まず、
この「天勇皇国」のおかれた状況の困難さだ。
半世紀前の大戦争で完敗した皇国は、
今も和州連合による属国化から抜け出せないでいる。
単体の戦力としては「無敵」な勇者がいながら、
なぜ、完敗したかだが、
占領された時点からさらに半世紀前から、
いやらしく挑発され続けた結果、
皇国軍が暴発し、
最初こそ世界の1/3を占領したが、
和州連合の圧倒的な物量で押し切られた。
では、
その時に297代勇者は何をしていたかといえば、
まだ、
子供だった。
296代勇者が原因不明の突然死をした後の混乱に乗じて、
和州連合軍とその同盟軍は反転攻勢に出、
二年で勝敗は決した。
以来、
皇国軍は解体され、
和州連合から「在皇和軍」が編成され、
駐留を続け絶大な権力を保持している。
まずは、
この「在皇和軍」をどうにかしなくては、
自主独立すらままならない。
具体策を考えていたら、
従者が勇神教の神官長のアルケーレの来訪が告げた。
「在皇和軍のアラハギ大佐より即位礼の延期要請がだされました」
アルケーレは青年らしい美しい気配を纏ったまま、
冷静にはっきりと言った。
「陛下、どうやら在皇和軍は本土からの独立を画策しているようです」
また、
新しい事態か? と、頭がついていかなくなる。