勇者仕事する
うーん、作業の効率化か、
何となく懐かしい感覚が蘇ってくる。
そういえば、
過労死した原因の一つがこれだった気が・・・。
まぁ、
親から継ぐ予定の会社に入ったはいいが、
仕事をこなせばこなすだけ、
幾何級数的に仕事が増え難易度も高くなり、
そういえば移動中の社用車の中で心筋梗塞でなくなったんだった。
不思議と今の状態と似ているような気もするが、
こちらは肥満体による不健康と繁殖活動による腎虚かな?
いや、
どうも肥満体にみえても勇者体質で健康は保たれているようだ。
自動回復みたいなものか?
だとすれば、
回復に必要なエネルギーを常時消費するよな過労をこの体に与えれば、
痩せたままなのではないだろうか?
過労、いや、この場合は物理的なダメージか。
体表が傷つくと色々と問題になりそうだから、
体内でやってみるか。
まず、
試しに骨から折ってみよう。
心臓から遠くてあまりいたくなさそうな足と腕の骨で、と。
痛いのは嫌だから痛覚を遮断して、
折る。
そして瞬時に再生。
おー、少しお腹周りの脂肪が減った気がする。
これを全身でうまくやっていけば、
折るエネルギーと治癒するエネルギーで、
かっこいい細マッチョになれるかも。
と、安直に思ったが、
それかの試行錯誤はなかなかに大変で、
徹夜してしまった。
でも、
生前の仕事と同じく、
やると決めたことは完遂したのはいうまでもないが、
精神的な疲労感はまさに過労死してしまうレベルだった。
太陽が昇る頃、
眠らせていた看護婦と医師を目覚めさせた時の二人が、
私をみた時の驚愕はいうまでもない。
全裸で立ち誇っている私をみて看護婦が怒鳴った。
「服を着てください!」
そして老医師は言った。
「さすが勇者体質でこざいますな。うらやましくなるほどにご立派で」
私はその時になって、
股間にある皇統継承に不可欠な道具への気配りを忘れていたことに気づいた。
細マッチョになった故に、
体躯と比較すると異様に大きくみえるようになっていたのだ。
私は急いで病衣を着て、
苦笑いするしかなかった。