勇者死す?!
ああ、
また死ぬのか、
と短くて楽しい夢だったと思いつつ、
私の意識は途切れた。
まぁ、
指からビームがでたのは楽しかった。
次に目がさめたのは病室だった。
あれ、死んでないというのが最初の感想で、
次に、体が軽いと思い、
腕をみると肥満体でぶよぶよだった体は、
ガリガリになっていた。
私が動いたので、
看病していただろう看護婦と初老の医師が声をかけてきた。
「ご気分はいかかですか?」
私は返答に迷った。
実は気分はとてもいい。
まるで溜まっていた何かを吐き出したような爽快感だったが、
それをそのまま口にしていいものか。
沈黙していると、
医師は不調だと捉えたようで、
今の状態を説明してくれた。
「さきの勇者陛下が崩御なされたために、殿下の神力が暴走したために起こった神力欠乏での不調です。時間と共に自然回復いたしますので、ご心配は不要です」
医師は優しく説明してくれた。
はて、勇者陛下? 神力? とは?
より困っているところに、今度は三人の男性が入ってきた。
「お目覚めか」
忙しく近づいてきたのは中年の仕事ができそうな男性だった。
「殿下、あぁ、よかったです。爆発をみた時は、ガーズデット、この身が切り裂かれる思いでした。陛下に続き殿下まで、と。そんなことになれば天勇皇国は滅亡してしまいます」
次に出てきたのは黒髪和風に黒い服をきた、多分、軍人だ。とても、見下したような両目で辛い。
「在皇和軍のアラハギ大佐です。とりあえず、良かったです」
随分と乱暴な言い方だが、内心はどうなのだろうか?
こんな時、相手の心の声が聞こえたりすれば便利なのだが、と思っていたら、突然、頭の中に女の声が流れた。
<陛下の暗殺の次はこいつか。女の敵め>
こわっ!
何この人!?