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本を並べたり、積んだり、発掘したり

本を並べる(怖い話編)

作者: あかね

売ると呪われそうな本ってありますよね……。

「げへへへ。旦那いい本がありますぜ」

「いや、だからなんで段ボールから出すんだよ」

「最近新装版が出て、別のシリーズも出て買いたいけど、まだ読めそうにないから過去作を引っ張り出してきた」

「どんな本なわけよ?」

「メルヘンです!」

「ふぅん?」

「Missing全13巻。なんか、処分すると呪われそうなので、一生持ってると思う本。

 以下引用。

 神隠し――それは突如として人を消し去る恐るべき怪異。

 学園には関わった者を消し去る少女の噂が広がっていた。

 魔王陛下と呼ばれる高校生、空目恭一は自らこの少女に関わり、姿を消してしまう。

 空目に対して恋心、憧れ、殺意――様々な思いを抱えた者達が彼を取り戻すため動き出す。

 複雑に絡み合う彼らに待ち受けるおぞましき結末とは?

 そして、自ら神隠しに巻き込まれた空目の真の目的とは?

 鬼才、甲田学人が放つ伝奇ホラーの超傑作が装いを新たに登場。」

「ぜんっぜんメルヘンじゃねぇっ!」

「いやぁ、作者がメルヘンっていうから……なんかほんとは怖いグリム童話とかの系譜のメルヘンかな。これを読んで、色々なものが怖くなったのでトラウマのおすそ分けがしたい」

「やめろ」

「ほらぁ、真夜中に止めてもFAXが延々と送られるとかさぁ。木に梨が実るとかさぁ。そうでなきゃ、冷蔵庫に詰められるとかさぁ、あ、これば断章のグリムか。断章のグリムはアリスと白雪姫のお話だよ! ゴスロリ美少女がヒロインだよ」

「美少女ヒロインはいいんだけど、冷蔵庫に何を詰めるの?」

「ふふふ。だいじなもの。この冷蔵庫はエンゼルとグレーテルの話が元になっておりましてね。ふふふ」

「……ぜってぇろくなもん突っ込んでねぇっ!」

「ふふふ。まあ、このシリーズでマジでお風呂が怖くなったので、お気を付けください。浴槽に水入れっぱなし、ダメ絶対! あとタンシチューもちょっとなぁ」

「なにを煮込んだの」

「ちなみにこれは人魚姫の」

「……あーそー。

 スプラッタでは?」

「スプラッタってなんか元気そうな感じなので、こっちはねっとりじっとり重苦しいホラーではないかと」

「メルヘンじゃ」

「おう。ホントは怖いメルヘンだよ!」

「……メルヘンはもういいから」

「怖い話と言えば車輪の下」

「いきなり古い本出してきた」

「以下引用

 ひたむきな自然児であるだけに傷つきやすい少年ハンスは、周囲の人々の期待にこたえようとひたすら勉強にうちこみ、神学校の入学試験に通った。だが、そこでの生活は少年の心を踏みにじる規則ずくめなものだった。少年らしい反抗に駆りたてられた彼は、学校を去って見習い工として出なおそうとする……。子どもの心と生活とを自らの文学のふるさととするヘッセの代表的自伝小説。

 二度と読みたくない。トラウマ。無理」

「別な意味の怖い本じゃないか」

「そういう意味では果てしない物語も怖くて読めない。泣いちゃう」

「金字塔ファンタジーが怖い話に!?」

「黒歴史を突き付けられているかのようなこううがぁでうわぁっな感じ……。無理。なんか、そっち行っちゃダメとか言うほうに行く」

「そ、そうなの?」

「映画のほうは見れるかな。中身、違うし」

「それもそれで問題では」

「ファルコン、竜してないけど、可愛い。それでいい」

「また、問題発言を……」

「さて、普通にオカルト的に怖い話。

 裏世界ピクニックかな。これは完全に百合です! 空魚そらをちゃんが可愛いです。ほかの要素を圧してのかわいさ」

「可愛さで推すオカルト本って……」

「以下引用。

 仁科鳥子と出逢ったのは〈裏側〉で“あれ”を目にして死にかけていたときだった――その日を境に、くたびれた女子大生・紙越空魚の人生は一変する。「くねくね」や「八尺様」など実話怪談として語られる危険な存在が出現する、この現実と隣合わせで謎だらけの裏世界。研究とお金稼ぎ、そして大切な人を探すため、鳥子と空魚は非日常へと足を踏み入れる――気鋭のエンタメSF作家が贈る、女子ふたり怪異探検サバイバル!

 まあ、オカルトって言ってもネットロアとかだね」

「ネットロアってなに?」

「昔話とかは民間伝承フォークロアとか言われるのね。それのネット版。実話系怪談が取り上げられている」

「八尺様もくねくねも前々からいたんじゃない?」

「いたけど、ネットにもお引越し? 分裂? されている模様。

 実話系というのは、友人の友人があったとかそういう系統みたい。この系統は全く知らないところだったから興味深い」

「しらんの?」

「ネットロアとか都市伝説は管轄外かな。信じるか信じないかはあなた次第です」

「……どこから出したそのサングラス」

「これもMIBメンインブラックのなんかだよなと思う。宇宙人について調べるとやってくる黒服。これも怪異と言えば怪異。そして、何かが道をやってくる」

「さりげない振りしてレイ・ブラッドベリぶっこむな」

「いや、あれもホラーだったなと。

 じゃあ、怪異ホラーの大御所クトゥルフでも? と言ってもうちにあるのはラグクラフト全集だけ。詳しくはないんだよね。ニャル子さんはラブコメ全振りなのでここには並ばぬ。

 そういえば佐野史郎氏がクトゥルフの短編書いてたの知ってる?

 図書館で見かけてのけぞったわ。短編集の中の一つ書いてたんだけどさ。あの人クトゥルフの人だったけど、ついに短編まで!? と」

「え。クトゥルフの人なの?」

「ドラマ作ってる。なんかU-NEXTで見れるっぽい。アマプラにも来てほしい」

「アマプラも万能ではないよ」

「万能でもいいのよ?」

「あんだけあれこれ見倒しておいてそんなんいうのか」

「最近、おしり探偵とちいかわとマッシュルしか見てないよ。おしり探偵は、もし、ミステリか探偵の話をする機会があれば語り倒したい。子供向けと言いながら、色んな探偵ものへのオマージュを感じますぞ。あとダンディはインディ」

「だんでぃってだれ?」

「おしり探偵父。おそらく母は……という話はまた、別の機会に」

「ちいかわは、まあ、あれだな」

「人によってはホラーにいてもいいかなって思うの。小さくてかわいいのにっ!」

「(そっと目をそらして)マッシュルは?」

「しゅーくりーむ。もっもっもっ。今どきゲームブックを三冊も出してる。正気? 買ったんだけど、最後の一冊ずつだったわ」

「別な意味で怖いな」

「こわいなー怖いなーと思ってたんですよ」

「急に怪談のテイストに戻るな」

「いや、一応、怖い話の体ですので。

 怨霊の話する?」

「したくないと言ってもするんだろ」

「闇に歌えばっていういにしえの書物がありまして」

「いにしえ」

「ラノベ系統で20年以上前はいにしえでは?」

「知らんけど」

「スレイヤーズよりは古くない、っぽい」

「スレイヤーズも古いけどそんな?」

「スレイヤーズが1990年ですってよ、奥様。その前にあったロードス島とかもう古典とか言われるのわかるぅと遠い目に……。

 いやいや、そういう年月の残酷さを語るべきではございませんね。

 非業の死を遂げたものが怨霊化し、それを鎮魂して御霊にするおはなしです。たぶん」

「たぶん?」

「異能バトルみたいな側面もありましてな。

 これで私は壇ノ浦を知りました。歴史で習ったはずなのにきれいさっぱり忘れてましたわ。いつか見に行きたい」

「いってなにをするの?」

「波の下にも、都があるんだろうから、その深淵を覗いてみたいなと」

「……物好き」

「聖地巡礼大事。

 怨霊ものとか極めてくと日本史にも詳しくなる特典があるよ!」

「それものすごい血なまぐさいなんかありそうなんだけど。なんでサムズアップするの」

「まだまだありそうなのだけど、長くなりそうなのでこのくらいで」

「あのさ、その既刊13冊とか12冊とか、並べるの?」

「二段にすればいいじゃない」

「そういう扱いしているといつか、何もないのに、どさどさ降ってくるかもねぇ?」

「やめてぇ」


今日の本棚

Missing

断章のグリム

車輪の下

果てしない物語

裏世界ピクニック

ラグクラフト全集

闇に歌えば

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