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フレー

窓辺に願うこと

作者: 日浦海里

目標に向けて頑張ってる人を応援します

いつも見る顔


新聞を折りたたんで読んでるおじさん


目を細めながらスマートフォンで

一所懸命文字を読むおじいさん


赤本広げて問題を解いてる女の子の学生さん


英単語帳とにらめっこしてる男の子の学生さん


腕を組んで目を瞑ってじっとしているお兄さん


扉の側で日本史の参考書とにらめっこしながら、

時折窓の外の景色に目を向けてる女の子の学生さん


昇り始めた日差しが窓の外から射し込んで

黒い髪が時折光の色を含むようにして

輝くような薄茶色に変わる


流れるような黒髪とは言うけれど

光を受けて色が変わるなら

純粋な漆黒ではないのだろう


名も知らない人々

名を知りたい人


何度も何度も目にしてるのに

互いの名前すらも知らない


それでも、いつもの場所にいないと

どことなく不安になる

そんな人……たち


そんな日々もまもなく終わりを告げる


手元の本に視線を落とす


やり残したことはないだろうか

忘れてることはないだろうか


焦ったところで

文字は目の上を滑るように流れてくだけで

理解できてるとは思えないから


また窓際の景色を眺める

紺色、黒にえんじ色のチェック柄

光に照らされた白と黒


交わることのないレール

僅かな時だけど並んで走っていたレール


一つでもたくさんのことを覚えなければいけない時だけど

そんな知識や公式とは別に

覚えておきたい、忘れたくはない

そんな景色

そんな姿


もう一度手元の本に視線を落とす


文字が図形のように見えてくる

忘れたくないイメージは

こんなものまでイメージに変えていく


本を閉じる


窓際の景色を少し見つめて

目を閉じる


目にした景色を記憶の中に閉じ込める


駅の到着を告げるアナウンスと

慣性で揺れる身体


扉が開いたことを知らせる空気が抜けたような音


目を開ける


窓際の景色は変っていた

立つ人もまた


その扉の先に

僕も向かう


いつもと違う場所

いつもと違う時間


そうなればいい

そうなりたい

という想いを

現実(本当)にするために


受験シーズンですね


これまで学んだ知識だけじゃなくて

日頃から目にしてること

日頃から考えていること


疑問に思うこと

何かを願うことだって

考える力

答えを導く力に変わると思います


今ある自分で

やれることをやるだけです


頑張れ、受験生!

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― 新着の感想 ―
[一言] 受験シーズンですね。一生懸命電車内で勉強に励んでいる学生さんを見ると、つい心の中で応援しちゃいます。 勿論それは、この作品に登場する「僕」に対しても。 「名も知らない人々」と「名を知りたい人…
[良い点]  毎日の決まった風景。  でも、本当は決まっているわけではなくて、  偶然のバランスの上に  成り立っているのですよね。    確かに、よく見る方がいないと、知り合いでも  ないのに「どう…
[良い点]  車両のなか、いろんな人がいますね。 [一言]  逆に。  学校で勉強したこと、かなり役に立ってます。  じゃなきゃ、ここで描けてません……えっ、だとしたら。私は、もっとちゃんと勉強し…
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