四人のスキーヤー
湯田中は朝の6時、
バス時刻まで随分な余裕があり、
四人のスキーヤーは、
夜行疲れの顔も見合わせ
『蕎麦でも喰うか?』
駅前には早朝客相手の店が四~五軒開いている。
座敷のある店に四人は上がり、銘を注文。
一人が
『お酒を二本下さい。』
『俺も飲もうかな?』
『俺にも』
『俺にも』
結局テーブルの上には六本のお銚子が並び
『雪見酒』などと御託を並べ、
御託と一緒にお銚子の本数が増し、
一番のバスが来てスキーヤーをマンに乗せるのを見て
『ここまで来て満員バスに乗ることもないから次のバスにしよう』
と又お銚子が増し、
二本目のバスが同様にしてパス、
一時間も飲んでいれば疲れからか眠くなるのは酒の自然だ。
敷物を枕にイビキの合唱開始、
バスは何本発車したことやら、一人が目覚め時計を見て
『おい起きろ、昼過ぎているぜ』
『うん行こうか』
四人は多少の気恥ずかしさを押殺しバス停を眺め
『タクシーで行こう』
我々四人は何のために夜行列車に乗ったのか?