【ジャン×シチュ】第一作目「スポーツ×厨房」
【ジャン×シチュ】
第一作目「スポーツ×厨房」
「さあ始まりました! 第58回エッグラドル選手権正午の部。司会は私バイトリーダーのチャン・ティエンがお送りします! 今回で58回となりましたエッグラドル選手権。巷ではただ生卵をお玉で相手に投げつけ生ゴミにしてるだけのクソスポーツ、食への冒涜など揶揄されていますが、今回の対戦はそうはいきません! なぜなら、今回の対戦者は一生涯で一度も生卵をお玉から落としたことの無いスーパーシェフなのですから! では登場していただきましょう。レストルームからでてきたのは、身長73インチ体重160パウンド! 俺の火で通らない肉はないフランベの貴公子、チン・タオタオ!」
「ふん、お前のそのお玉へし折ってやるわ!」
「お次は喫煙ルームから出てきたのは、身長65インチ体重160パウンド! 1日で作った饅頭は3000個手のひらクリームパン、キム・パオパオ!」
「今日は小指だけで倒せそうじゃわい」
「では先行のキム・パオパオシェフへ、エッグinお玉! レディ......アクション!」
ジャァーーン(ドラの鳴る音)
「いきなり決着をつけるとするか。『猛虎独進(タイガーロンリネス!)』」
「おっとこれはいきなりタイガーロンリネスだぁあ! お玉から卵が弾き出されチンシェフに突進していくぞ! 」
「ふっ。甘い。はちみつを入れた卵焼きくらい甘いぞキムシェフ!」
『柔毛捕球!』
「出たァあ! チンシェフの真骨頂サンタルチアだぁ! まるであのナポリ民謡サンタルチアのような滑らかさで、膝、腰、そして腕を使い落下の衝撃を減少させ最後の一回転半で全ての衝撃を受け流すテクニックだ! これではキムシェフの特攻も歯が立たないのではないだろうか?」
「では反撃と行きますよ。『竜巻旋風脚』ァァアア!」
「なんの、イチローの捕球(10年連続GG賞)! からの火竜の獄炎『(バーンオブレウス)』!」
「やりますね! しかし、『落ちたところはスライムだった件(スライム〇ペスト)』!」
「両者1歩も譲らない攻防! 生卵が行ったり来たり高速でお玉からお玉へ飛び移っています! しかしなんということでしょう、けたたましい金属音は聞こえるのに、一向に生卵が割れる気配はございません。むしろおたまの方がひしゃげて来ているようにも見えます。これは両者の手から発せられる、職人の拘り、執着から来る熱量なのでしょうかぁ!」
「ふふふ、それではここで最終奥義をご覧にしんぜよう。」
「だにぃ! 最終奥義だと?」
「なんとキムシェフ、最終奥義を出すそうです。まだ決勝が控えているのに最終奥義を出していいのでしょうか?!」
「最終奥義、『一刀両断(頭パッカーン)』!」
「お玉を高々と掲げ、卵を支点にお玉だけひっくり返したぁ! そのままラクロスのごとく生卵はチンシェフの顔面に一直線だァァ!」
「くそっ! 顔面だと? これでは通常のサンタルチアでは受けきれられない。ならば!」
『エッグスキャン』
ーー卵の軌道、流線型、速度、そこから来る受け止められる箇所これをよく観察するのだ......。ーー
「よしここだ。『サンタルチアfeatルチアーノ・パヴァロッティ』」
「出たァ!『サンタルチアfeatルチアーノ・パヴァロッティ』! 低音で周波数の少ないパヴァロッティサウンドを駆使し、なんとチンシェフがキムシェフの最終奥義を受け止めたァァァ!」
パキッ!
「「むっ?!」」
パキパキ......パッリーン!
「ななななんということでしょうか! これは両者初いえ、大会史上初です! 生卵が割れてしまっただけでなく、両者の過激な攻防のせいでヒヨコが生まれてしまったぁぁぁぁあああ! これには両者唖然! 卵が入るくらいの開いた口が塞がらない。そして両者とも涙を流している! この戦火で一匹の命が生まれたことに感感涙涙しているのだ! 両者今、硬く腕を組み健闘を讃え会い試合終了ーーーー! 今回の対戦は両者勝ち! 決勝でもう一度対戦だぁぁぁ! ......さあ、というわけで第58回エッグラドル選手権正午の部。勝者はチン・タオタオとキム・パオパオとなりました。では最後に今試合の総括を解説の茂入木オーナー、お願いします」
「二人とも、クビ」