66*エミリー視点
*ヒロイン視点です。
読み飛ばし可
無駄に学園内をウロウロした結果、やっと生徒会室へのお使いをゲットしたわっ!
本当はもっと早い段階で頼まれるはずで、生徒会室へ入ったら、孤高の王子ハリソン殿下に、「君、入学式で遅れてきた子だね」って言われちゃうんだよね。
でもお約束の「バーーン!」ができなかったから、そこんとこどうなるのかな?とりあえず入ってみたらどうにかなるか?
生徒会室前に着いたら、強そうな騎士様が扉前に立っていた。
学園内だし、要らなくない?とか思っちゃうけど、王子様だし付けているのかな??
まぁ気にせず入ろーっ
「君、ここに用事?初めて来る場合は、身体検査と身分証の提示をお願いできるか?」
「は?身体検査?身分証?」
「王太子殿下がおられるので、おいそれと誰でも入れるわけには行かないんだ。
危険物の所持がないかと、身分証は念のための控えを取るだけだ」
「えっ学生証しかないですけど!てか身体検査とか、いやです」
「ごめんよ、これも仕事で。拒否するなら、必要な用件をここで言ってもらえれば、取り次いで確認するが?」
「えっっ中に入れないんですか?」
「王太子殿下が会長でいらっしゃる限りは、コレは必要な処置で、学園の許可をもらった行為だからな。
…それとも、なにかやましい事でも?」
笑顔だけど、全然笑ってない目で観察するように見てくる騎士様。え、こわっっでもイベントの鍵をやっと貰えたのに!!
「わっやましい事なんてないわよっ!でも私、平民だし身分証なんて持って歩かないわ」
「ああ、学生証あるって言ってたよね、それでも良いよ。ただ、用件は言える?」
「えっ、先生に書類のお使いを頼まれたからっ」
「なんだ、それなら私が受け取り、中へ渡そう。それなら特になにも必要ないよ」
「えっやだ!」
「じゃ、学生証と検査を」
え……触られるのはもっと嫌かも。と躊躇っていたら、騎士さんの後ろのドアが開いた。
「どうかした…あ、エミリーじゃないか?どうしたんだ?」
「ああ、ニコラウスっ!先生に頼まれて、これ持ってきたんだけど、通してくれなくってっ」
「え?あぁ。彼女は問題ない。私が保証する」
あんなに手こずっていたのに、ニコラウスがそう言うと、すんなり入れてくれた。わぉ、特権てヤツ?セレブ〜〜?
預かった書類はニコラウスが持ってくれて、ニコラウスの席まで案内してくれた。
「ありがとうエミリー、助かったよ。ここまで遠かったろうに、すまないね」
「そんなぁ、(イベントのためだもん)良いのよぉ〜」
ニコラウスと話しているうちに、周りを見渡した。みんな忙しそう。あ、エリオットだわ!やほぉ〜⭐︎
構内であんまり見かけないから、レアキャラに会えたみたいでじろじろ見ちゃうわー。あれ?ハリソン殿下は集中し過ぎているのかな?おーい、ヒロイン様が来たわよぉ?
さて、こうしちゃいられないわね。最初のセリフから行きますか!
「皆さまお忙しそうですねぇ〜」
そう言ってからハリソン殿下の反応をチラチラ見てたけど、聞こえなかったのかなー?そしたら横の席から鋭い声がかかった。
「用事が済んだのなら、お帰りいただけるかしら?ここは遊び場ではないわ」
わっこわ!あ、モブ子Ⅲじゃない?何でここに?あ、ルート開放の判定でか?!ってことはダメだったのかしら?
すかさずニコラウスが庇ってくれた!ああ、フォロー助かるわぁっ!
「アクストン嬢、エミリーは先生に書類を運ぶように頼まれて、善意で持ってきてくれたのだぞ」
「そう、それはありがとう。お帰りはあちらでしてよ?」
「わっっ私………」
判定機能は覆らないのかしらっ?何かないかな?!
思わず涙目になったけど、ハリソン殿下を見てても変わりそうにない。ぅえーん、ニコラウス〜!もう一回お手伝いを選択してみようかな?
「あの、お忙しそうなのでお手伝いできればなって」
「結構よ」「必要ないですね」「私も特には」
否定はやっ!てかエリオットの横のクール系のモブもちゃっかり聞いてたのねっ。
どーしよー、ニコラウス〜なんとか出来ないかなぁ?そう思ってニコラウスを見上げたら、「でっでは私のを………」って言ってくれて、抜け道ゲットかと思ったけど、エリオットが難しい事言ってダメって論破されちゃった……。
「……すまない、エミリー。行こう」
ってニコラウスが、私の背に手を回して扉に誘導しようとした。慌てて後ろを見たけど誰も目が合わなくって、ニコラウスもショボーンてしたから、諦めて部屋を出た。
やっぱり「バーーン!」がないとダメだったかなぁ。なんでもそうだけど、最初のインパクトって大事なのね〜。
ハリソン殿下はまだ希望あるし、ここは良いかぁ。
そういえば『アクストン嬢』ってどこかで聞いたなぁ。うーん、なんだっけ?あんな儚気貴族令嬢ってそんなキャラ居なかったよね?うーん??
***
よし!ルートが開くかどうかの最後の頼み、「ダンスイベント」だ!
更衣棟で授業用の支給されたドレスに着替えて行った。
上手くいくか緊張するわ。顔がちょっと熱いかもっ。ちゃんと敬称は付けなきゃで…えーいぃ、女は度胸よ!
「あのーっエリオット様っ」
「君に名を呼ぶ事を許した覚えはない」
あまりの返答の速さに「えっ」と声が漏れた。
あ、エリオットって呼ばなきゃ良いのかな?
ああ、セリフ続けなきゃっっ
「あっっえっと…良かったらダンスのパートナーになっていただけませんか?」
言えたー!と達成感を感じてたらすぐに「断る」と返ってきた。
えーーー!やっぱりルート開放失敗?!
「えっっでも、優しく教えてほしいなぁなんて…?」
「君は私に、教師の真似事をしろと言うのか?」
エリオット様キビシー!!ヒロインが泣いちゃうぞ?!
「ちがっっ、でも、この時期だし……
そうよ、決まったパートナーがいた方がいいと思うしっ」
「私のパートナーは、永遠に決まっている」
その言葉でエリオットの後ろから、彼の腕に白く華奢な腕がスルリと絡み付いた。
あっ!あれはモブ子Ⅱじゃない!!もーなんなの!
「あなたなんなのよっ私の邪魔する気?!」
「私の婚約者だ。君に罵倒される筋合いはない」
「えっっっ婚約者?!って他のクラスでしょ?」
「私の婚約者は入学からずっと同じクラスだ。君、私のフランシーヌを侮辱するなら、相応の覚悟があるのだろうな?」
エリオットの睨む顔が怖過ぎて「ヒェっ」て声が出ちゃった。えー!どういうこと?!
とりあえず一時退散、たいさーーーーん!!
***
はぁ、落ち着こう。スーハー。
えっと、あのモブ子Ⅱって、エリオットとチャールズルートで出てくる、あの悪役令嬢?
縦巻きロールじゃないし、気品があってお淑やか〜な感じで……?
Aクラスってことは頭いいの?んー??なんで?
あ、あれかな?あの子も転生者とか?!私も転生者なんだし、可能性はあるんじゃないかな?え?ずっと邪魔してたのってもしかして…?!
くっそー、モブのフリしてやってくれたわねっっっ
じゃ、エリオットとチャールズはまだイケるのかな?学園祭まで待ってみて無理ならニコラウスルートのみ制覇??
隠しキャラも出てくるかもだし、ニコラウスキープでイベントこなして、学園祭まで頑張ろう!
***
ニコラウスとイベントこなしてたら、途中でニコラウスの婚約者ってのに絡まれたりしたけど、結果クリアで問題なしだった。
学期末試験とか、イベントこなしで大変で結果はボロボロだったけど、なんとか歴史と数学だけは高得点で終えれたし、イケるっしょ?
ところが、終了日の最後に先生に呼ばれた。
なんと、成績がちょっとよろしくないので、補習が必要だと。期間を教えてもらったら、ほぼ休暇期間ずっとだった。マジか。
じゃ、ずっと学園にいたら街デートイベントは…!?ニコラウスにお手紙送っておこうかな…好感度高いし、暫く会わなくても平気かな?
真面目にやらなきゃ退学もあり得るらしいし。
はぁぁ、ヒロインなのについてなーい。
やっと本筋に追いつきました!
ヒロイン視点ばっか続いて申し訳ありません(泣
夜中テンションで突っ込みました!




