62*エミリー視点
*ヒロイン視点です
なんだか女子生徒に散々注意された翌日。
私は早くに教室に行って、攻略キャラの入り待ちをしていたの。扉の影からジーー〜〜っとエリオットや、チャールズ、マティアスが来るのを待っていた。
今日こそ、今度こそっ!……ああ、近づいてくるわっ!それにしてもあの横にいるの誰かしら?
まぁいいか。
さぁエミリー、深呼吸よっ目を閉じてスーーーハーーー、さぁっいざ行かん私の舞台へ!ってあれ?
「まぁどうされました?入り口を塞いでは危ないわ。避けてくださらない?」
今までエリオットが見えていたのに、一瞬で他のモブが目の前にっっ?!しかもコレ、昨日のモブ子じゃないの?
モブ子はそう言うと、ぐぃっと奥へ押してくる。なによっって、あんた意外と力強っ!
「あ、アンタまた!!ちょっっ押さないでよっっっあっモゴゴゴゴ………」
***
くっそーー、なんだかんだで話しかけられないわ。早くしないと。でも私はヒロインなんだから、大丈夫。だって、私が世界の中心なんだもの⭐︎
選択科目を一緒にしておけば、授業中のイベントが…!一緒の授業ってどうやって取るんだろ?ゲームでは自動だったしなぁ〜?付いていけばいっか。
それにしても全部回るのかしら?さすが頭脳派クールなインテリキャラ・エリオットね。
とりあえず、授業終わりを狙って再会イベントをもう一度行くわっ!
ちょっと緊張するけど大丈夫、「あ、あの時の…」って返事が返ってくるはずだもんね♪
授業が終わってソッコーで行った。
「私のこと、覚えていませんか?!」
ちょっと顔が赤いかもっやだっっっ照れるー!
「記憶にないですね。失礼、次を急ぎますので」
はい、ツーーン頂きましたっ!って、え?
「あ、あの時の…」って言って、私のことを思い出して、気になっちゃうんじゃないの?
我に返って振り返っても、もう姿はなくって。こうしちゃいられない、後を追わないとっっ
でもアレかな?過去エピソードを完遂できなかったから、エリオットルートは駄目になっちゃったのかなー?
んー?次はニコラウスとチャールズのイベントがあるし、ダメならそっちに行ってみるか。
***
ニコラウスのイベントは、早くに来ちゃったヒロインが、時間まで学内を探検して回っているときに、早朝鍛錬中のニコラウスを見かけるのよね。
面倒だし直接行っちゃおー!
あ、いたいた。
あぁ、朝日に照らされて輝く汗。射抜くような目で剣を振る姿が、硬派な雰囲気を醸し出しててカッコイイ!
で、この辺で小枝ふんじゃうのよね。それで気づかれちゃうはずなんだけど、この学園、流石お貴族様が通っている設定だけあって、どこもかしこも掃除が完璧。
やっぱりないわねっ。うーん、音のなるものがないわっ!仕方ない、ちょっと強引だけど、近くにいっちゃえばいいか。
ニコラウスは校舎側に背を向けて、一心不乱に剣を振っているから、だんだん近づいて行こう!
あと5、6メートルくらいの時に砂が靴底で擦れて「ジャリっ………」って鳴った。
そしたらニコラウスがバッと勢いよく振り返って、持ってた剣ーー!!ちょっと危なぁっ!
「誰だっ!」
「あぁぁのっ剣、危なっ!」
「すまない、つい。それで君はこんなところで何をしている?」
あーびっくりしたっ!振り向き様に斬られるんじゃないかとヒヤッとしたわっ
でもこのセリフ、さぁ返事をするわっ!
「ごめんなさい、朝早くに来てしまって、探検していたの」
「探検?こんな所まで?」
「そうなの、とっても爽やかな朝でしょ?それに、剣を振る姿がとっても綺麗で見惚れちゃった!」
「そ…そうか」
「もし良かったら、また見に来てもいですか?」
「う…ん。まぁ、構わないが」
「わぁ!やった!」
思わず声に出してはしゃいじゃった!ちゃんと高ポイントがゲットできる回答だったもの、許可をくれるまでができれば大丈夫なはず。さ、次行こう!
あ、そうそう、お名前聞くのも忘れない。これがないと名前呼びイベントが発生しないのよ〜
「では、また!私、行きますね!」
成功した嬉しさで小走りで教室までの道を行っていたら、教員に見つかって怒られちゃった。
はーーい、すみませーーん。
***
次はチャールズの出会いのイベントね!
廊下や教室内を歩くチャールズの前に回り込んで、何度もハンカチを落としたりしてたのに、モブが拾ってくる。ちょっと違うわよモブっっっ!今はそんな優しさ要らないのよっっっ!あ、あんたモブ子ね?!
落としてから戻ってくるまでめっちゃ早くない?!
くっそー、こうなったら至近距離で落としてやるっ!
今度は成功よっ!
「………あ、君、これ落としたよ?」
はい、出会いのセリフ頂きましたー!
「あ、ありがとうございます。私ったらドジで…」
「気をつけてね。じゃ」
あれ?「君、名前は?」ってなるんじゃないの?ん??まぁ、出会ったし、明日からは小まめに挨拶するといいんだっけ。
こんなものかと切り替えて、次はニコラウスの差し入れイベントね!
さぁこうしちゃいられないわ。更衣棟まで行かなきゃ!
***
小走りで向かったら、ニコラウスが丁度出てくる所だった。
「あ、先輩!」
持っていた袋を片手で持って、空いてる手で手を振った。更衣棟から出てきたニコラウスを、ゲットできました〜!
「クラスター嬢、こんな所で…次の授業か?」
「あの、先輩に差し入れしようかなって。鍛錬、頑張ってたから」
「私に……?これは?」
「クッキーです。あ、良かったら、中庭で食べません?」
「え……あぁ、少しなら大丈夫だ」
「やったぁ!行きましょー!」
早く早くと隣を歩きながら急かしていたら、ニコラウスが苦笑した!
ああ、この顔もイイなぁー
中庭についてベンチに座らず、芝生に座ったら、焦って立つよう言われたけど、大丈夫!
これからいっぱいココでイベントがあるから!
「大丈夫ですよー。凄く気持ちいいの!先輩も座ってみて!」
考え込んだニコラウスは、なんだかんだで横に座ってくれた。そこから空を見上げると深呼吸するみたいに深く吸い込んで吐き出してた。
「悪くないな。気持ちいいかもしれない」
「でしょ?!じゃ、クッキー食べましょー」
「ああ、いただくよ。ありがとう」
あ、笑顔頂きましたっ!やっぱり一番攻略難易度が低いニコラウスなだけあって、好感度が高い時に見られる笑顔がすぐ見れた。
なんかもう達成感に浸っちゃいそうだけど、学園祭まではキープしておかなきゃなんだよね。
ふぅっヒロイン業もなかなかハードだわっっ