61*エミリー視点
*ヒロイン視点です。
……おかしいわ。こうじゃなかった気がするんだけど。
学園に下見に行っても入れなかった。
ココで細マッチョな赤髪イケメン、ちょっと脳筋ニコラウスと出会えるはずじゃ??
門兵さん厳しい顔してるし、もうすぐ学生なのーって入学証明書出しても「駄目だ」の一点張りだし。っもう、融通効かないったらっ。
渋ってもじとーっと不審者を見るような目で見られるから渋々帰ったけど。あれー?
しょうがないから、素直に入学式まで待ったわ。
ゲームでは、構内で迷っている内に入学式に遅れちゃって、連絡通路から慌ててバーンと勢い余って入っちゃうはずなのに、ゲームスタートに浮かれすぎて早く着いちゃったから、更衣棟を見たりして時間潰したの。
もうすぐ出番かなって連絡通路に戻ったら、すっごいいっぱい騎士さん立ってるし。
いやいや、こんな中どうやって「バーン!」ってするのよ?!ってオタオタしてたら騎士さんに見つかっちゃって、正面口を僅かにそっと開けて、静かぁに騎士さんに手を取られながらのエスコートされて、静かに「どうぞ、レディ」って!わぁさすが騎士さん、紳士ぃ〜って、そうじゃないわっっ!
そう言えば、孤高な王子様、ハリソン殿下は?!って壇上を見たらほぼほぼ終わりで、本当なら「バーン」で目が合って、「あっっっ☆」ってなるはずなんだけど、「こっち見て!」の団扇とか無いし。
あ、今、降り際にこっち見たっぽくない?!ってドキドキしてたら、俺様王子様のマティアス殿下が壇上に上がって、胸が高鳴るような力強いお言葉を言っていたわっ!
ああ、美声だわ〜!また講堂で聞くと違うわ〜〜なんて思ってたら、また視線こっち向いてない?!やっぱりヒロインだからなのね?!?!
終わってこうしちゃいられない!と中庭を目指して人をかき分けて目指して、ゼェゼェと上がった息を押さえて見渡した。
確かどっかの木の上に子猫が居るはず………?!
「猫ちゃーーん、ちょっとどこ〜?急いで出てきて〜〜??」
全然見当たらなくて、もしかしてまだ登ってないとか?
草や植栽かき分けて探してもいなくって、あれれ〜?ってしていたら結構時間経ったみたいで、通りかかった先生に捕まって、早く行きますよと渋い顔でせっつかれた。
えっでも、私、子猫と木の上にスタンバって、マティアス殿下に助けてもらう予定なんだけどっっっ?!
ちょっ、首根っこ掴まないでよっっ
ブーブー言いながら教室入ったら、前の席しか空いてないから仕方なく一番前で先生しか見えないし、自己紹介とかしないの?!こんな席じゃ、後ろ向ける雰囲気じゃないし、とりあえず早く終われー〜!
***
振り返ったら、やっぱりいた!
お子様の時以来だわっっエリオット!
そしてさっきぶりなマティアス殿下もー!
あ、これは、あれだわ、再会シーン!
私がちょっと転けて、受け止めてくれて、「あれ?きみ…」みたいなっっっ☆
よぉっし、狙い定めてぇぇっっ今だ!
ガタッ
ぉぉっとぉ!え?右手首ガシィっ!
からの肩を優しくグィィっっ!そしてホールド?でクルン??
んで見えたのは、栗色の目と髪のモブキャラっっっっ?!
「ちょっ!あなたなっもごごごごご…………!」
「淑女は叫ぶものではありませんわっ」
そぉね?ってちがーう!ああっ私のイベントが通り過ぎていくくぅっっ!
え?マジでなんなの?!どーなってるの?!
長いので切ります(´-ε -`)