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46*エミリー視点

*引き続きヒロイン視点です

読み飛ばしても影響なしです

 やっっとなったわ、9歳よ!


 その間落ち着かない気持ちを慰めるべく、街の本屋さんに行ってじっと本を見つめて、お父さんにおねだりして、せめて古本を買ってもらったり、字の勉強をしてみたり。

 王国の簡単な歴史書を読んだり、とにかく色んな方向から見て回ってみたの。


 あれよね、『聖地巡礼』?!ちょっと違う気もするけど。


 そして8歳の時に、過去エピソードに出てくるスチルの映像と似ている背景がないか、大通りを練り歩き、小さな路地まで眺めまわし、ついに見つけ出した!


 9歳になってから、その遭遇ポイント付近を午前中はずっと観察(監視?)し続けた。


 そんなある日、お母さんから頼まれごとをした。大通りの金具店だった。いつも大通りに行くし、良いよーと軽く受けてから向かった。


 いつもの遭遇ポイントについて、またじーーーっと見ていたら、ついにっっ!ついに見つけたの!



 遠くからでもわかる、サラッとしたアッシュブロンドの髪、紫がかった美しい瞳。切れ長の目!


 やだ、動いてる!ヒョエー!!


 私は興奮のあまり、お店とお店の間の小さな通路に隠れて、壁から半分顔を出しながら食い入るように見つめていた。

 は!いけないわっあのポイントで、道に迷った私がぶつからなきゃなのに!もうすぐそこまで来ているエリオット様に偶然出会うのだ!


 私は通路から抜け出し急いでポイントにたどり着こうとした。



「おっと、お嬢ちゃん?走ったら危ないよ?」



 全然違う人に出会った。


 え?ナニコレ。誰よアンタ。ガッチリ体型だしなんか塞がってて見えないしっっ



「ちょっとっ!!どいてよっっ!!邪魔なのよ!」

「おお、暴れなくても離すよ。ちょっと落ち着きなって。なんだ、お使いかなんかか?籠落ちてるぞ?」



 どうでも良いわよ!とジタバタしていたら、通過しそうになっているエリオット様の影が見えた。



「----!ぁっっっあの!!!!!」



 ちょっと、見ーえーなーいー!!


 体を捩って男の横から顔を出したら、不意にエリオット様と目があった。

 キャワワ〜〜じゃないわっっ!この距離じゃ声が届かないかも!



「わたしー!道に迷ってしまってー!!ぶつかってごめんなさいーー!!」



 エリオット様は目をパチクリさせると小首を傾げて行ってしまった。

 わっっおわったっっっ?!?!



「お嬢ちゃん、とりあえずこれ落とさないようにな。じゃ、気をつけて帰れよ?」



 あんなに邪魔だった男は、あっという間に人混みに紛れて消えて行った。


 私は呆然としばらくしたあと、自分を励ました。

 大丈夫よ。だって、あの台詞は言ったもの。エリオット様も反応していたし、スチルでは目を見開いて「君、大丈夫?」って言うんだけど、その台詞以外はクリアしたわよね??過去エピソードだし、きっとこれくらいで良いのだわっ



***


 そして次に噴水広場で待ち伏せした。1週間もかからずにその機会はやってきた。


 お昼を少しすぎた頃、噴水広場に2人で歩いている少年。

 あの服…それに帽子を目深にかぶっているけど、見えてるブルネットの髪でわかる!強引俺様王子様なマティアス殿下だわ!


 あれ?隣にいるのってエリオット様?はっ!もしかして、エリオット様との過去エピソードが完全じゃなかったから?ここにおまけで流れて?!?!やだ、フォローかしら?


 ウフフ、今度こそやってやるわ!風よふけー!!


 その時願いが叶って強い風が吹いて、マティアス殿下の帽子が舞い上がったのが見えた。

 私は視線を下に下げて帽子が落ちてくるのを必死に待つ。


 あれ?まだ??どこ?ここじゃ無いのかな?踏まれてるとか?!!



「帽子っっどこっっっ」

「お嬢ちゃんどうしたんだい?」

「帽子がないの!」

「飛ばされたのかい?…ないねぇ。おーい、お嬢ちゃんが帽子飛んじゃったんだとよー。誰かその辺にないか見てあげてくれー」



 そしたらみんな足元をみたり、覗いたりしてくれた。モブってば優しい!

 ざわざわしながら探してもなくって、王子様に目を向けたら、え?!あれあれ?!被ってる?!乗っちゃってる?!!いつの間に!


 …いや、こうしちゃいられないわっ、声をかけなきゃ!焦ってその場で叫ぶように台詞を言っちゃった。



「あの!!!!帽子っっっ落としませんでしたか?!!」



 あれ?首を傾げてる?聞こえなかったかしら?焦った私は近づこうとしたら、人に遮られて見えなくなった。キョロキョロと見回したけど見えなくて、いなくなったのだと分かった。



「お嬢ちゃん無いねぇ。遠くに飛ばされちゃったのかもねぇ」



 そんな声をかけられて、またも呆然と佇んでしまった。

「気にするな」「落ち込まないで」とみんな声をかけてくれた。そうよね、私、ヒロインだもの。出会いイベントに全力を尽くすわ。


 モブって私に優しいのね。ありがとう。



***


 その後孤児院を覗いたり、ウロウロしていたけど、隠れキャラが見当たらなかった。



「どこかなー?別の孤児院とか?」



 孤児院の近くで落としたところを遠くから見かけて、こっそり届けてくれるはずなんだけど。

 そこで侯爵様に諜報員にイヤイヤさせられて、能力を発揮して影の組織で実力者に…と言う流れの筈。


 だから孤児院に行っては覗いて、落とし物してみたんだけど、物は帰ってこないし、お母さんに怒られるしで散々だったわ。


 もしかしてもう見かけてくれてたりするのかな?


 その後出かけては物をなくすので、部屋で謹慎する様に言い渡されたので、じっとするしかなかった。


 仕方ないので、そのまま探すのだけは続行して、学園に入るまでは勉強をしながら過ごすことにしたの。

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[一言] ヒロインかわいそす。 エミリーガンバ!
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