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恋愛短編まとめ

オーバードラックガールの「愛せるなら愛してみろよ」

作者: 甘宮るい



 そういえば半年前はこの時間に起きて、学校に行って笑っておはようなんて言っていた。擦り切れて、消費していったおはようと糞みたいな笑顔を戻すためにお薬を飲んでいる。

 睡眠薬も鎮痛剤も3倍にして口の中へ、後で来る腹痛、吐き気に頭痛よりも足りないパーツを埋めようと飲み込む。人として、おかしいところがありすぎた。

 ところでみなさんは、その笑顔の対価になにを払っていらっしゃるのですか?無限に笑っているようですが、そんなに湧いて出てくるものがあるなら教えてくださいな。

 何もできないまま自分の目が次に開かないように願いつつ瞬きをする。もちろん、開く。眠っても、開く。苦しまずに殺してくれ、こんなにも苦しんだのだからそれくらい許されるはずだ。それでも、そうならないということはそれほどに他人も傷つけたのだろうか。

 ところであなた、そんな言葉を並べていますがそんな単語では伝わらない。私の心に届かない。あぁ、ごめんなさい。私、心がないのですよ。

 哂えなくて頬をカッターで切った。血が出た、そのうちに治るだろう。眠気が来ることを願ってシャーペンの芯を出す。そういえば、あんなことを言われた。今の私に言葉はないけれど、震える口を開いても何も出ない、息が臭いかもしれない程度だけれど、書いておこう。願うのは明日が来ないことだから、それくらいはしておこう。

 そんなことでは私は騙せない。いやもっと単純にだましてほしかった。そんなつもりでもないらしい。その純粋さがあったのでは私は理解できない。できないでしょう。愛せるものなら愛してほしい。怒ってはいないのです。あなたには私がわかっていないと思ってしまいました。下に見られていると思いました。浅はかですね。私も、でしょうか。それでもあなたは浅はかだったでしょう。こんなにも哀れな私はあなたにはわからない。騙され続けたからあなたのことに傷つきました。違います、今まで幾度となく多数の他人に心無いことを言われたのです。まぁ心はないのですが。

 人に何かを伝えるのは難しい。私が伝えられたことをそうとれたことがないから言い切れる。そんなフレーズじゃ伝わらない。私にもあなたにも。とはいえ、眠気が来ないな。睡眠薬を1錠、飲み足した。

 こんな私がそのような関係の時だけは普通に、同じ立場に立ちたいと願うこと自体が浅はかでしょうか。都合のいいのが嫌いなのです、都合よくされその犠牲になってきたのでどうしても許せません。怒ってはいないのです、悲しんで憐れんでいるのです。それさえ飲み込めてしまえば愛されていたでしょうに、何て私は哀れなのでしょうか。一番欲しいものがそれだと思っているのですよ、それでも手に入らないのです。手に入れ方を忘れたというより受け取れるそれの形がどれも異形のものだらけなのですよ。

 遠回しなことばかり書いてしまう。意識は朦朧として、欲しい。心臓のあたりが痛くて鎮痛剤を1錠飲み足した。感受性の限界突破は、痛みを伴うものなのだ。

 今やあなたのことをたまに思い出して考えては、そういう形もあったのかもしれないと思うほど自分の意見が見えなくなってきました。ですがあの時、入ってくるものに抵抗した私は嘘ではないと思うのです。あなたのそれも嘘ではないように、私のこれも嘘ではないように、あの時の反射で動いた体も嘘ではないのです。いや、それのほうがもっと正解に近いと思いませんか。

 いきなり意識がふわふわしてきて、最後にごめんなさいと書くとまた心臓のあたりが痛くなって鎮痛剤に手を伸ばす、そこで力尽きた。眠気に身を任せる。明日も目が覚めなければいい。


 そういえば半年前はこの時間に起きて学校に行って……あれ何かをしていたな。そもそも、半年前だっただろうか。

 


息抜き一発書きです。ちなみに睡眠薬はわりかし市販のものでもききますよ。



まだ君が僕を呼んでいる、という現代恋愛に少しだけファンタジーを足したようなお話を書いています。もしよければ。

https://ncode.syosetu.com/n1702ew/

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