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第5話 妹に決闘を挑まれる

第五話剣聖、妹に決闘を挑まれる

 それから二ヵ月後、その森にはコンコンと木と木がぶつかる音が響いていた。そうユリウスとギルが模擬戦をしてた。


「ふうー、やっぱ鍛錬をするなら模擬戦だわ」

「ユウそれ何度目?」

「一度目だな」

「たしかに今日だけならな。はー」


 ギルは何かに呆れた溜息を吐いた。


「なぁ、ユウ僕の太刀筋どう?」

「いいと思うぜ。型ができてるから。そのままでの方が成長しやすいだろ」

「なるほど」


 少し間をおいてからギルがある提案をしてきた。


「ねぇユウ、僕の魔法受けてみない?」

「魔法使えるようになったのか!それなら話は簡単だ。喰らいたい」

「もしかしてユウはMなの?」

「違う!てかどこからそれ覚えてきた」


 ユリウスは断固違うという姿勢を示す。それからユリウスはなぜ魔法をくらいたいかを話した。


「いやだって直接魔法をくらえば魔法の感覚的なのがわかるかも」


(前世いや、前前世か。そのときも魔法という概念はあったがこの世界みたいにだいたいどの人でも使えるみたいなものじゃなくもっとこー特別の中の特別な人しか使えなかったからな) 


 そう言うと同時にユリウスはそれを思い出す。


「なるほどね。でも直撃するととんでもないことになるよ」

「安心しろ斬るだけだ」

「は?今何と」

「斬るだけといった」

「いやいや魔法斬るとか普通無理だから」


 ユリウスからしてみれば大真面目だった。それを見たギルは呆れながら同意の意を示す。


「どうなっても知らんよ」

「どんとこい」

「いくよ。……ファイアボール」


 ギルが魔法名を言うと何も無いところに火球が現れ、、それをユリウス目掛けて放つ。

 ユリウスは剣(枝)を構えるとファイアボールを見切り縦に両断した。斬られた火球はユリウスの後ろで小爆発を起こし、消滅した。

 ギルは驚愕と呆れの表情が混じっていた。


「はへー、マジで斬ったよ。って何故斬れる?」

「いやだって俺の前に斬れそうなものがあれば大体斬れるだろ」

「……いやいや、普通は無理だから。どうしたら斬れんだよ」


 ユリウスは斬れて当たり前だろという顔をしていた。


「ギルなら近いうちにこれくらいできるようになるだろ」

「いや、そんなイメージがわかないのだが……」


 ギルはああ言ってはいるがユリウスは必ずできるようになるという何故かわからないがそんな気がしていたのだ。その後ユリウス達は素振りや筋トレといった基礎作りなどをやった。

 きずくと時間が昼ちょい過ぎにくらいになっていた。


「ユリウスは今日、お弁当か何か持ってきた?」

「いや、手ぶらだぜ。めんどいからな」

「なら一回お昼ご飯食べに戻らない?鍛錬もいいけどお腹が減ってると集中できないからさ」

「昼食いたいだけだろ。まあ別にいいけど、少し試しいこともあるからな」

「決まりだね」



 ユリウス達はそういうと屋敷に一回戻ることにした。帰宅中に何体かの魔物を見かけたから両親に報告することにした。

 ユリウスは屋敷に戻ると母親のクレアに報告をしに執務室に向かった。

 ドアを三回ノックし自分であることを告げ入室の許可が出たため執務室に入っていった。


「今、大丈夫?」

「ええ、大丈夫問題ないわ」

「わかった。入るよ母さん」

「ユリウスどうしたのこんな時間に」


ユリウスは近くの森の街道寄りに何体かの魔物を見かけたことを報告する。少し離れた場所から見たから正確な大きさはわからないが中型より一回りくらい小さかったと付け加えて報告をした。


「報告ありがとうユリウス。今から何人か警備を回して巡回してもらうわ」

「これで報告はしたし退出するよ。母さん仕事中にごめんなさい」

「あら、気にしなくても大丈夫よ。魔物の報告助かったわ、早く危険に対処できますから。また何かあったら報告をお願いするわ」

「わかった。じゃあこれで」


 そういうとユリウスは執務室をあとにした。

 クレアは、やはりユリウスは頼りになると思っていた。机にある呼び出しベルを鳴らし使用人を呼ぶとユリウスの報告にあった辺りに警備を回し警戒するよう伝言を頼んだのであった。


(これで報告も済んだしどうするかな。まだ森に戻るには早すぎるしな)


 ユリウスはそう思いながら廊下をあるいていると妹のアリサと鉢合わせる。

 それは結構久しぶりの邂逅であった。

 アリサはユリウスにスキルが無いことがわかってからユリウスにやっていたものと同じものを勉強することになったからだ。

 どちらにせよユリウスに教えるべき勉強はもう既に終わっていたためアリサへ移行することになっていたのが早まっただけであった。

 だが、まだアリサの身にはやるべき量が多すぎたのだ。

 そうユリウスが覚える速度で初めはやってしまったためアリサには負担が大きく自由の時間がほとんど無くなってしまったのだ。

 それから暫くしユリウスが異常だったのを家庭教師たちが思い出しやるべき量は減ったがそれでもかなりの負担なのは変わりない。

 さらにそこへ実技が入り余計に負担が増える。

 ユリウスと違いアリサには剣の才能がありさらに魔法にもそれなりの才能があることがスキル鑑定により発覚したからだ。

 それがわかればやる量が増えるのも必然だ。だが最近では剣の授業はしていない。

 なにせ教師たちの技を全て得とくしてしまったため独学になってしまったからだ。今は魔法とユリウスがやったものを行っている。


「お久しぶりです。お兄様」

「……あ、ああ、久しぶりだなアリサ。最近どうだ?」

「お兄様よりは忙しいです」

「口調が昔と変わったな」

「ええ、時間が経てば変わるものです。ではこれで失礼します」


 ユリウスは随分他人行儀になってしまったなと思う。

 だが何故そうなったのか理由はわかっているためそこまで深く考えることはなっかたが、それでもすこし寂しく感じた。



 一方アリサのほうは。


(お兄ちゃ……いやお兄様はなにもしなくて羨ましい。私はお兄様のように期待され、それに対して報いるのに大変だというのに。ああ、これならあのときの剣舞は見たくなかったな。あれに少しでも憧れてしまったことを後悔してしまうくらいなら。今考えれば所詮今よりも小さかったからすごいと感じてしまったに違いないとわかるのに……)


 アリサはそう思っていた。昔、兄ユリウスが見せた剣舞その憧れへの失望が彼女の心を支配していた。


 「なぜ、私よりも弱いのにそこまでがんばるの?お兄様。もう現実を見てください」


それから一時間後。

 午後の最初の授業が終わりを迎え始めたときである、アリサは退屈で窓の外を眺めていた。すると屋敷を後にするユリウスの姿を捉えそれをただ呆然と見ていた。


「……ですからこの問題はこうなるのです。聞いていますかお嬢様」

「ええ、聞いているわ」


(ああ、退屈なの。そこは昨日の夜に予習してとっくに理解してるから)


 アリサはそう思い心の中で、はぁと溜息を吐く。


 授業が終わるとユリウスの後をつけて行く。アリサはもう今日の分の範囲はとっくに終わらせていたからだ。


(お兄様はいったどこまでいくのかな)


 アリサはそう思いながら気配を完全に消して尾行した。その後ユリウスが広間に着いたとき少し離れた場所にある茂みがありその近くの木に体を少しだけ隠すと何をするのか眺めた。すると一瞬ユリウスがこちらを向き驚いたが、流石にまぐれだとアリサは思う。




 ユリウスは屋敷を後にしたあと。いつものところへ向って歩いている。

 そしていつもの広間に着くとちょうどギルと同じタイミングでついたのだった。


「うむ、ちょうどだな」

「そうだね。これからどうするの?」

「そうだな、とりあえず準備運動もかねて素振りでもするか」

「そうしよう」


 ユリウスは一瞬茂みの方へ見たがすぐに前を向いた。

 そうして二人は軽く素振りを三十回ほどやるとユリウスは突然何もない茂みの方に向って行く。


「そろそろ、出てきたらどうだ?アリサ。そこにいてもつまらないだろう」


 ユリウスがそういうとアリサは目を丸くして驚く。自分は完全に気配を消していたのになぜバレたのだと。そういわれると驚愕しながらもアリサは茂みから出てきた。

 ギルは何も気にしていなかった。そう、まるでユリウスと同様に最初からわかっていたかの様に。


「なぜ、わかったのですお兄ちゃ、……いえお兄様」

「ふむ、あれだけ気配があれば、普通にバレるぞ」

「ありえない!だって気配遮断を私ができる限界までやったのに」

「俺がスキルなしだからわからないと思ったのか。ははは」

「だってさっきまで気がついて……いやもしかしてなの」

「そのもしかしてだ。尾行してたのをあえてきずいてないフリをしていただけだ」


 普通はありえないのだ。スキルがあるなし関係なく、剣術系のスキルの気配遮断は暗殺向けスキルや魔法、武術系スキルが同等以上でもない限りそうそう看破できないのが通説だ。もちろん例外は存在する、だが何のスキルも持たないものはきずくことは不可能だ。

 アリサはその通説を事実だと分かっていた。屋敷を抜け出す際、この気配遮断を使ったから検証済みなのである。流石に両親にはバレるとアリサも分かっていたが運よく合わずに済んだためここにいる。


(ありえない!?なんでスキルもないお兄ちゃんが私の存在に気がついてたの。でもこれではっきりするなの)


 アリサは驚愕しそう思っていた。もしかしたらという可能性がアリサの脳裏に浮かんだがそれはないと頭を横に振る。

 

 するとアリサはこう告げた。


「お兄様、私と決闘してくださいなの」

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