第4話 剣聖、紋章を知る
二人は嬉しそうな笑みを浮かべて話し合っていた。
「ところで一つ聞きたいのだが、手の甲にあるこの痣?刻印?的なのは何にかわかるか?」
「え!?それ知らないの!」
「……ああ、最近まで国の情勢や小等部から中等部までで習うことを勉強してたから。そして魔法や体術については何も習ってないんだ。さらにこの刻印的なのが浮かび上がってきたのがつい最近なんだ、だからこれについて何も調べられてないんだ」
ユリウスがそういうとギルは驚いた表情をしていた。どうしたんだとユリウスは思い話しけようとしたと同時にギルが口を開いた。
「えーと、ね。まずこれは刻印でも間違ってはいないんだけど、正確には紋章って言うんだ。そして紋章は生まれた時点で皆が持っているものなんだよ。だから普通は最近になって浮かび上がってくるなんてありえないんだ。もしかしたらユリウスのスキルが発現を遅らせたのかも、あ……」
ギルはそこで言葉を切った。ユリウスは自分にスキルが無いことをギルに教えていたそれをギルは思い出し悪いことを言ったと思ったのだ。
「気にすんな。続けてくれ」
「君の紋章見せてもらってもいいかな」
ユリウスはそれに応え、右手の甲をギルに見せた。そうするとギルはありえない物を見たと言わんばかりの表情をした、否実際にありえない物を見ていたのだ。
「え!?何その紋章見たことが……いやまず本にも載ってなかったはず」
「どうした?まさかこの紋章事態が今まで存在してなかったのか?」
「うん。えーとね。まず紋章は四種類あるの。そして一つ一つが別の効果を持ち魔法の性能を補助してくれる物なんだ。そしてその四紋はそれぞれ第一紋、第二紋、第三紋、第四紋って言うのだ。」
そう言うと長い説明が始まった。
―――――第一紋
魔法の射程を大幅に増加 連射速度を小から中程度減少 威力が中程度増加 魔力消費を小程度抑える 長距離攻撃型。長距離をばしばし攻撃できる。
第二紋
魔法の射程を小程度増加 連射速度が大幅に向上 威力が小から中程度減少 魔力消費を中程度抑える 中距離攻撃型。中距離からうまくいけば近距離で魔法を連射し撃ち続けてある程度殲滅が可能。
第三紋
魔法の射程が中程度増加 連射速度が中程度向上 威力が中程度増加 魔力消費が小から極小程度抑えられる バランス型。近から長距離を攻撃でき連射速度もそこそこあり、第一と第二みたいに特化ではないから第一や第二みたいな強さはない広く浅い。
第四紋
魔法の射程を中から大程度減少 連射速度を大程度向上 威力が大幅に増加 魔力消費を中程度抑える 近接特化型。近接戦なら向うところ敵なしだが遠距離への攻撃手段がないため防戦一方になることがある。だがデメリットは術者の技量や魔力量に依存しており一概にはいえない。さらに紋章の補助をきれば恩恵はなくなるがその分デメリットが消えるため使い分けをする人が存在するけどだいたいはちゃんとした訓練を積んだ者たちのため最初のうちはそんなことをやらずに紋章頼みが多い。
ユリウスは説明の長さに圧倒されていた。
「……な、なるほど。要するに使用する魔法に何かしらの恩恵をもたらし強化するのが紋章ということだな。他の紋章はどんな形かわかるか?」
「ざっくりはしてるけどその解釈であってるよ。他のわっと。えっと、こんな感じだったかな」
ユリウスの問いに答えるようにギルは地面に他の紋章を描いていった。そのついでと言い各紋ごとの上下幅を四角形のグラフを描きそれにEXからDまでのアルファベットを使い各ステータスのランク付けをしていた。
(こ、こいつできるやつだ。たぶん)そうユリウスは思った。
そしてユリウスは地面に描かれた紋章を見ていった。
「紋章、他の奴も形がかっこいいな!」
ユリウスは何かを感じたように頷いた。
ギルは苦笑いをし続きを語り始めた。
「そして他の国では紋章の言い方が違うところもある。例えば第一紋を近接紋と呼ぶところもある。この国は説明どうり番号で分けられてるんだ。だからユリウスのそれは僕もわからないだ」
「とりあえず今までの話を聞く限り、俺の紋章は未知の物で能力がわからないということか。あとこれは下手に人に見せないほうがいいな」
「うん。未知の紋章が出現したなんてなったら実験台にされかねないからね。」
ギルはその紋章について教えられなくて申し訳なさそうにしていた。
「気にすんな。だって未知のもんだろこれ。なら知らなくて当然だろ。それとさらりと恐ろしいこと言うなよ。こえーよ」
ユリウスは笑いながらそういった。
「うん。ありがとう。でも本当にそうなりかねないから気よつけてね」
「おう。だが、俺に勝てる奴はそうそういないから安心しろ。どんっと慢心してやる」
ユリウスは不敵の笑みを浮べ笑った。
「たしかにユリウスが言うとそうなりそうな気がする。不思議だな。でも慢心すんな!」
そう言いギルも笑った。
「ねぇ、ユリウスあだ名で呼んでもいい?僕だけだとなんか不公平じゃない」
「そうか。べつに不公平ではないだろ。でもあだ名もいいかもな。ならユウで呼んでくれ」
ユリウスはそういった。
(前世?いやこの場合だとえーと前前世かなそのころもそう呼ばれてたしな)
「ユウ……か。うんならこれからユウって呼ばせてもらうな」
「おうよ」
ユリウスたちはさらに仲を深めていった。