第43話 序列最下位
クラス分けが行われ、それぞれのクラス担任の案内に従い、生徒たちは各々のクラスに向かっていた。
そしてクラスに着くと各々好きな席に座り、ユリウスら四人は当然横に並んで座った。
全員が席に着いたことを確認した担任の教師が自己紹介を始めた。
「このクラスの担任になったマリアーヌだ。気軽にマリーと呼んでくれ。……じゃあさっそくだけどこの学院の説明をさせてもらうよ」
マリアーヌは学校の説明を始め、その後生徒たちの自己紹介をする時間を与えた。
自己紹介は順調に行われ、ユリウスの番がやってきた。
「俺はユリウス=アルバートだ!これからよろしく」
そして最後はソフィーが自己紹介を行い、クラスメイト全員の紹介が終わった。
その日はそれが終わるとお開きになった。
翌日ユリウスは寝坊し、遅刻ギリギリで教室に入り周りから笑われていた。
「おいギル起こしてくれよ」
「起こしに行ったよ。何回か呼びかけたし、それでも起きなかったのはユウだよ?」
「まじか!まったく記憶がねー」
ユリウスがギルと話しているとルミアが話しかけてきた。
「ユウ君いつも私たちより早いのに学院があると遅くなるんだね」
「ま、まぁそれは人間の性だから抗えない」
「うーん?多分意識して起きるのが苦手なんでしょ」
「うっ……な、何のことかな!」
「ユウ、図星なんだね」
「…………」
ユリウスは何も言い返せず小さくため息を吐くことしかできなかった。
するとマリアーヌが教室に入って来た為、生徒一同は着席した。
「授業を始める前に、昨日説明し忘れたこの学院が採用している序列制度について説明する。まず序列は学科序列と総合序列の二種類が存在する。そのうちの一つである学科序列とは授業での成績や技能を見て判断し学科事の個々の能力で序列化される。……要するにテストや実技でいい成績を出せってことだ。そして二つ目の総合序列とは生徒同士の模擬戦などの実戦形式で行われた戦闘を勝ち抜き制で序列化されている。強い人に勝てばよりランキングが上がるから頑張ってくれ。ちなみに上位百位以内のみランキングに表示されるからそれに載れるよう精進しろよ」
マリアーヌはそこまでの説明を終えると一息つき、再び生徒達の方を向いた。
「何か質問のある奴はいるか?」
マリアーヌはそう言うと生徒達を見渡していた。
生徒達は隣に座っている者同士で何か話している様子だった。
そんな中一人の男子生徒が手を上げ、マリアーヌに指された。
「先生、何故ポイント制ではなく勝ち抜き制なんですか?」
ユリウスもその点を疑問に思っていた。
だがすぐにその疑問も解決した。
「昔はポイント制を採用していたが、最近不正を働いたバカがいてな、それで勝ち抜き制になったのだ。まぁその不正も学院長の前では一瞬で見抜かれたらしいけどな。これで答えになったか?」
「はい。大丈夫です」
男子生徒は納得の色を見せながら着席した。
そしてユリウスも少ししてから質問の為、手を上げた。
「それだと高ランクの人が低ランクの相手からの模擬戦とかを受けるメリットが無いように感じるんだが?」
「たしかにそうだね。……だけど一、二か月に一回開催される序列戦で序列を強制的に変動させてるから、実際高ランクの人間が戦闘をしてもしなくてもあまり意味がないようになってる」
「序列戦でランキングが動くからどちらにせよ停滞する意味がなくなるってことか」
「そう言うことだ」
「じゃあ参加できなかった場合はどうなる?」
「それについてはこの後で説明するつもりだったがまあいいか。不参加の場合は強制的にランキングが下がるようになっている。不参加でも理由があれば別だ。例えば体調不良なら現在のランクから五位落ち、無断欠席の場合は大幅に落ちるって感じでな。無断の場合は百位以上落ちることもあるから気を付けろよ」
「こっわ!わかりました。俺からはこれ以外にはありません」
ユリウスも先の男子生徒と同じく納得の色を見せながら着席した。
そして他に質問者がいないことを確認するとマリアーヌが次の説明に入った。
「参加できなかった時のペナルティーは今話したが、何かわからなかったことはあるか?」
生徒たちは納得した言わんばかりに沈黙し、マリアーヌはその沈黙を了解の意と捉え次に移った。
「なさそうだね。じゃあ次はお待ちかねの序列発表だ、と言いたいところだが先に渡しておくものがある」
マリアーヌはそう言うとバッチを生徒全員に配り始めた。
全員に行き渡ったのを確認するとそれの説明を始めた。
「そのバッチは模擬戦時に使うものだ。闘技場以外での模擬戦を行う場合の勝利条件はどちらかの降伏、もしくはそのバッチを先に破壊した方の勝ちになる。いつ模擬戦をやってもいいように常に着用しておくように!そうそう壊されたら私に言ってくれれば新しい物を用意するから安心してほしい」
それからも幾つかの説明をしていたが、その中でも重要な物は両者の承諾なくして決闘と言いう名の模擬戦は認められないため承諾なしではランキングに変動がないこと、及び受けるか受けないかの決定権は挑まれた側にあるという二点であった。
そしてバッジについての説明はざっくりした物で特殊な付与がされているとしかマリアーヌは説明しなかった。
それを詳しく知ろうとする者がいなかったため、バッジの説明は結果的にすぐに終わり本題に入った。
「それでは皆も楽しみにしているであろう序列発表を今度こそ始める。一つだけ言っておくと、今から発表するのは入学試験の結果を参考にした暫定序列だから、ここから上がるか下がるかは君達次第ってとこかな。……じゃあ学科から順に言ってくよ」
こうして暫定序列の発表が始まった。
各々大まかな順位を伝えられ、順位が高かった者低かった者と様々だったがだいたい同じくらいだった。
そしてユリウスの序列が発表された。
「ユリウスお前は学科序列最下位だ。まあ、あくまで暫定だ気にしすぎるなよ」
「え!?……」
ユリウスはただ驚きの声を漏らすしか出来なかった。
頭の中では理解出来ていても、状況が理解できていなかったのだ。
そしてそれを聞いた瞬間、周りは一斉にユリウスの方を向き、ざわつき始めた。
ルミアやギル、そしてソフィーも目を丸くして驚いているんが見て取れた。
誰一人としてユリウスが最下位を取るとは予想しておらず、四人ともただ絶句することしかできなかった。
生徒達の中には何で最下位がこのクラスにいるんだと言い出す輩もいたが、周りの声にかき消され本人に届くことはなかった。
「お前たち静かにしろまだ発表が残ってる」
マリアーヌの一言で教室の中が静かになり、発表が続けられた。
ちなみに三人の序列は、ルミアとギルは真ん中よりも高いくらいの順位で、ソフィーは下から数えた方が早いくらいの順位であった。
「次は総合序列だ」
学科序列が終わると総合序列の発表が始まった。
総合序列も学科同様に進められた。
次は順調に進んで行ったが、やはりユリウスの序列はソフィー達よりも低かった。
ユリウスら四人は納得いかない表情をしていたが、ユリウスが「今は仕方ない」と言ってその場を収めた。
序列発表が終わると学院の校舎案内が行われ、それが終わると昼前に解散になり今日の部が終了した。
ユリウス達四人は昼食を食べるため食堂に向かうと、偶然アリサ達が居り二人とも昼食を取る為来ていたようだ。
アリサはユリウスの昼食と同じものを頼み、他の四人は別々の物を頼んでおり、料理を受け取るとテーブル席に座った。
六人は学科と総合序列の順位について話し始めた。
アリサとゼナは学科では割と高い分類に入っていたが、総合序列ではルミアに近い順位であった。
そしてユリウスの順位を聞くとアリサが勢いく席立ち、どこかへ向かおうとした。
「おいアリサ!どこに行くつもりだ?」
嫌な予感を覚えたユリウスはそんなアリサの肩を掴んで止めた。
「学院長室なの!私よりも強いお兄ちゃんがそんなに序列が低いなんてあり得ないなの。だから直談判してくる!」
「おい待て!行かなくていいから」
「お兄ちゃ……んん、兄さん止めないでなの。これは私の使命だから行かなくちゃいけないの!」
そんなやり取りを見ていたゼナはどう反応すればいいかわからず困っていた。
「ん~これはどうツッコめばいいのかな」
そんなことを言っていると不意にルミアから声をかけられた。
「ゼナちゃんいつもの事だから気にしなくても大丈夫だよ」
「これがいつもの光景とかなんかすごいわね!?」
そんなゼナを差し置いてギルが二人に静止の声をかけた。
「二人ともこんなところでドラマチック的な雰囲気を出してても絵にならないからとりあえず座って。というか周りの視線が凄いから座って欲しいんだけど」
「…………」
二人は周りからの視線に気づき、顔を赤くして座った。
「とりあえずユウ君の事は今動いてもどうにもならないから、今後解決策を見つけるってことでいいんじゃないかな」
「そうだね。学院長に言っても門前払いされそうな気がしてきたなの」
「だからとりあえずはユウ君に頑張ってもらえばいいよ」
「最初からそのつもりだったんだけどな」
ユリウスは納得した顔でそう言うとなんで?と言わんばかりの視線が向けられた。
「ゼナ達は知らないと思うが俺は魔法が使えないんだ」
「え!?そうなの!!」
「で、でもユリウス君はさ、試験の時スゴイの使ってたじゃん」
「まあ色々あってなあの時は魔法っぽいのを使っただけなんだよ詳しくは言えないんだけどね」
ユリウスがそう説明してもゼナ達は納得していない様子だった。
アリサ達も当然納得していなかった。
「でもそれがどう繋がるの?」
「魔法科にいながら魔法が使えないからさ、序列が最下位なのは仕方ないと思ってるんだ。入れただけありがたいと思わないと。……総合の方は納得いかないけどな」
それを聞き一同納得の色を見せたが、アリサは憧れの兄が自分より序列が低いことに不満を残したままでいた。
「それなら尚更なの。なんで文句を言わないの?」
「序列が低いなら上げればいいだけだろ」
「たしかにそうなの。でも……」
「成り上がるのも意外と楽しいもんだからさ、新しい楽しみが出来たと思えばいいだろ。だから納得してくれアリサ」
「うん……そういうことならわかったなの」
ユリウスがそう言ってが、それでもアリサは納得いかない様子を見せていた。
話が切れた所でソフィーはあることを思い出しアリサに話しかけた。
「あ、そうそうアリサちゃん、私たちの前でくらいユリウス君の呼び方無理して変えなくてもいいよ」
「え、でも……」
「私たちの前なら気を抜いても大丈夫だからさ。ちょっと大人ぶらなくてもいいんじゃなかな」
「じゃ、じゃあお言葉に甘えるなの」
ソフィーは呼び方を無理して変えてるアリサにそう言うと、アリサも素直に返事を返したのだった。
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