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第22話 スキル確認

 ユリウスは新しいく追加されたスキルを上から順にタップし、確認していった。


 ———魔王

 このスキルは魔王化カースド・マリス中に発動するスキル。

 能力 全ステータス大幅に上昇 闇の制御 再生力上昇・大

 弱体化内容

 力の消失及び、封印により本来の力を発揮できない状態。

 本来の10%以下の力のみ使用可能な状態。

 規定条件クリアで弱体化解除


 ———魔王化カースド・マリス

 魔王の力を開放するスキル。

 能力 使用者を闇の存在へと変質させ、魔王として君臨させる。

 

 ———魔王外装

 魔王としての顕現装束を装備するスキル。

 能力 顕現装束を使用可能 使用者の意思で着脱可能 顕現の際魔力消費なし

 使用不可内容 

 規定のランクに到達していない。

 力の消失の為、制限がかかっている。

 外部からの干渉あり。


 ———魔王の宵闇

 魔王が身に纏い自身の能力を向上させ、形を変化させれるため様々な状況に対応可能なスキル。

 能力 ステータス上昇(闇の濃度や密度により変化)

 本来のランクはEXだが、弱体化によりランクダウンした状態。


 ———鍛冶

 武具などの作成や強化などを行う際に必要なスキル。一定の過程を学び、鍛冶に関する技術を習得すればこのスキルが発現する。

 ランクにより熟練度が分かれている。

 ランクEXでは神器や神器級の魔剣、聖剣を作成可能になる。


 鍛冶スキルなどの生産系スキルは、ランクが熟練度を表し、ランクが高ければ高いほど経験に基づいた勘などが鋭くなるなどの補正が付く。


「あ、俺の鍛冶スキルがとんでもないことになってる」


 ユリウスは、魔剣やら聖剣やらを作っていた頃を思い出しながら笑って言った。


「それにしても魔王系の能力が全部弱体化してたのか。そりゃー弱いわな」


 苦笑いを浮かべながら頬を掻いた。


「となると、俺用の剣を作る為の素材集めも当面の目的になるな。まぁ、神鉱石もしくは魔鉱石が欲しいとか贅沢は言わないからせめてアダマンタイト、少なくてもミスリルは欲しいな」


 神鉱石とは聖剣や神器作成の材料であり、魔鉱石も同じく魔剣や神器の材料である。

 だが、神器に関しては神鉱石が神などの聖なる者が使う物なら、魔鉱石の神器は魔神などの闇なる者が使う物となる。


「まあ工房もないから当分は枝で十分だな」


 それからはインベントリからナイフを取り出し、普段使っている枝の形を整え始めた。

 そして数十分が経ち、ユリウスはナイフをしまいその場に立ち上がった。


「さて、スキルの確認も済んことだし一旦戻るろうかな。昼ぐらいにはアリサ達も戻ってきそうだからな……」


 そう呟くとユリウスは帰路に着いた。

 そしてその帰り道にワイルドボアと遭遇し、それを仕留めるとその場で血抜き行い始め、血抜きが完了するとお土産として持ち帰ったのだった。


 屋敷に着くとちょうどサラと出くわしたユリウスは土産として持ってきたワイルドボアを渡し、外で手に着いた血を洗い落すと、屋敷の中へ入って行った。


「ただいま~」

「あ、おかえりなの」


 ユリウスを出迎えたのは、帰って来たばかりのアリサだった。

 アリサはパーティーに参加した時の、着飾った姿でそこにいた。

 

「おっ、アリサか。その姿可愛いぞ」

「えへへ。ありがとうなの」


 アリサは少し照れ気味に言い、ユリウスは頭をポンポンと優しく叩いていた。


「あ、そうだったなの。お兄ちゃん、今お客さんが来てるから気を付けてね」

「了解だ。それと着替えて来いよ。汚れると大変だろ」

「うん。そうするね~」


 そう言い残すとアリサは着替えのために去って行った。

 それと入れ替わるように、ルミアが奥の部屋から出てきた。


「ユウ君おかえり~」

「おう、ただいまルミア」

「ねぇねぇお菓子作ったんだけど食べてみて」


 ルミアはユリウスにお菓子を渡した.

 見た目はほぼクッキーである。


「では、いただきます。…………」

「どう?」

「うん、うまい!!」

「やった!頑張って作ったかいがあったよ。初めて作ったけど、おいしくできてよかった~」

「いくつか貰ってもいいか?」

「いいよー!はい」

「お!サンキュー」


 ユリウスはルミアの頭を撫でながら言うと、ルミアは嬉しそうに微笑んでいた。

 そして、お菓子の入った小さな袋をルミアから受け取った。


「これは後で部屋に戻って、くつろぎながら食べさせてもらうよ」

「うん♫」


 ルミアは上機嫌な様子で頷くと、「じゃあ、アリサちゃんにも渡してくるー」と言い、アリサの部屋にお菓子を持って行った。


 それからルミアから貰ったお菓子をインベントリに入れるとユリウスは昼食を食べ、アリサ達二人と共にいつもの場所に向かいそこでギルと合流した。


「おっすギル」

「やあユウ。僕もちょうど今着いたんだ」


 ギルは訓練の前の準備運動を行おうとしていたところだった。


「じゃあ、ギル君と一緒に私たちもやろ」

「賛成なの~」


 そう言い、二人はギルと共に準備運動を始め、ユリウスは午前中にすでにしていた為、軽くアップをし始めたのだった。


「よーし。準備運動も終わったし、いつも通りとりあえず筋トレから行きますか」


 そして基礎体力をつける走り込みをし、その他諸々のトレーニングを終わらせると少し休息を取り、剣の稽古に移った。

 稽古の形式は最初は素振りをやり、そこから踏み込みや技の練習などを行い、その次にいつも通りの模擬戦形式でやり始めた。


「じゃあ、アリサとルミアがペアでやってくれ」

「なら僕はユウとか」

「そう言うことだ」


 それから模擬戦が始まった。


「アリサ踏み込みが浅いぞ!そしてルミア、回避に専念し過ぎるなもっと攻めろ!」

「むー、なんでチラ見でそこまで分かるなの?」

「あはは、だってユウ君だし」


 ルミアは苦笑いを浮かべアリサは拗ね気味言うと、指摘された事を直そうと意識しながら戦い方を変えた。


「ギルは問題ないな。よ……っと、一つ言えば剣に集中し過ぎて魔法を合わせた並列戦闘が途切れる点だな」

「そんなユウこそあれを使……ってないよね」


 二人は互いの攻撃を木剣で受け流さず、紙一重の所で回避しながら問題点を指摘していた。


「いや~意識的やらないと、途切れるから意外とむずいんだよなこれ」

「わかるけど途切れたら意味ないよね……っと」

「よっと、あぶねー」


 二人は互いに魔法と数秘術で撃ち合いながら近接戦を行い、互いに飛んできた物を撃ち落とすか回避のどちらかでやり過ごしていた。


「受け流しなしだと辛いね~」

「そんな余裕そうにしてよく言うぜ」


 二人ともまだ全然余裕があるという表情を浮かべながら稽古をやっていた。

 それからユリウスがアリサ達の方を向き、指示を出した。


「お前らそろそろ並列戦闘をやってみてもいいぞ。ただし、今のスタイルが崩れないよう注意しろ

!慣れてきたらスタイルを最適化させればいいから」

「わかったよ。これでやっとできるなの」

「了解!いくよアリサちゃん」


 アリサ達二人は、魔法を無詠唱で発動しながら戦闘を継続していた。


「言い忘れたがたまに詠唱してから魔法を使えよ。いつか詠唱が必要な魔法を覚えた時の為に!」

「「うん」」


 返事をするとアリサ達は戦闘の合間に、詠唱をたまに使うようにした。

 それから数分が経った。


「ユウまだ余裕そうだね」

「当たり前だろこれくらいへでもねー」

「なら……」


 ギルはアリサ達に目で合図を送ると、アリサ達二人は息があった動きでユリウスに攻撃を仕掛けた。


「は!?……っあぶねー」

「連携の練習もしないとだから」

「これ……奇襲では?」


 ユリウスはアリサ達の不意打ちを難なく回避しやり過ごしたが、連携した攻撃に一瞬反応が遅れた。


「おい!三対一は卑怯だろ」

「お兄ちゃんに対してはいいなの。だって、そんなこと言いながら軽々対応してるんだもん!」


 ユリウスは三方向からの攻撃を剣で受け流したり、回避したりと様々な方法で対応し、一瞬の隙を突き反撃をするを繰り返していた。


「ほい、俺の勝ち」

「むーーまた負けたなの」

「だって連携と言っても、ギルがお前らに合わせてるから本来の力出せてないんだよ」

「ユウ、それは言わなくてよかったのに……」

「まぁ、精進するんだな」


 それを聞き、アリサとルミアはもっと頑張ると意気込みながら意見交換をし、次の課題を見つけ出していた。


「ところでギルとアリサよ。お前らスキル何もってんだ」

「そういえば言ってなかったなの。私は剣術EXと魔導適正Bだけなの」

「僕もアリサとほぼ同じで剣術EXとゆ……んん、魔道適正B+だけだよ」


 ギルは何かを口にしそうになったが、一回咳ばらいをしてそれを誤魔化した。

 ユリウスは「なるほど」と言いながら頷いた。


——魔導適正

 魔法を使うことが可能になるスキル。このスキルは一定の下位魔法が使える様になると習得できることがある。

 ランクが高ければ高いほど高位の魔法が使える様になる。

 魔術スキルはまた別の分類に入る。


「あれ、EX持ちが三人とかこのパーティーやばくない?」

「たしかに、それにそんなのに軽々勝てるくらい強い人もいるしね」


 ユリウスは苦笑い気味に言うと、ルミアも呆れ気味な雰囲気を漂わせて言った。


「このメンバーなら、いつかドラゴンとかも倒せそうだよね」

「たしかにそれはあるかもしれないね」


 ギルが微笑みながら返事を返すと、ルミア達もそれにつられ「たしかに」と言い、夢を振らませた。


「なら次は新しい稽古をやるか」

「新しい……」

「稽古?なの」


 アリサとルミアは首を傾げ、ユリウスはその続きを話し始めた。


「それは呼吸法の稽古だ」

「呼吸で何か変わる?」

「まあ、言いたいことは分かる。呼吸風情で何がどうなるとか思ってるだろ」

「……うん」

「それが意外とな、呼吸を意識するだけで結構変わるんだよ。特に継続戦闘能力とか身体能力とかがな。俺は、戦闘中に特別な呼吸をしてるから割と疲労が軽減されてるんだな」


 ユリウスがそう言ってもやはりルミアやアリサは首を傾げ、よくわからないと顔に書いてあるかの様な表情をした。

 そして呼吸についてユリウスが説明を始めた。


「実はな……」


 なるべく分かり易く説明し、ルミア達は相槌を打ちながら聞き、少しずつ理解していった。


「……ってのが呼吸から得られる恩恵だ」

「なんか凄いのは分かったなの。でも使ってみないと実感できない」

「まぁ、実践あるのみだな。これに関してはもう感覚だからね。で、今回教えるのはさっきの説明にも言った‵活性の呼吸‵を取得してもらう」


 それからユリウスは詳しい練習の仕方や肺の使いを分かり易く説明した。

 そして三人はユリウスの指示で呼吸法の基礎練習に入った。


「これ意外と大変なの」

「そうだね。でもアリサちゃん、これができるようになればユウ君に少し近づけるよ」

「うん!そうだね。頑張るなの!」


 現在ルミア達の周りにある酸素を、ユリウスが数秘術の練習も兼ねて普通より薄くしていた。

 普通の酸素濃度が百%なら今ユリウスも含め四人の周辺の濃度は七〇%まで減少していた。

 ユリウスは酸素が薄くなる範囲をあらかじめ木の枝を使って印を付け、倒れそうになったらここから出るように言っていた。


「にしても、ギルはほとんど完成してるんじゃないか」

「そう?なのかな。僕は戦いやすいように自分で呼吸の仕方を変えたりしてたから、多分たまたま相性が良い物になってたんだよ」

「普通はそんな偶然ない気がするがまー面倒だしそういう事にするか」


 そしてユリウス達は日が暮れるまで続けていたのだった。

 それ以降の日々も呼吸法の稽古を加え、慣れたらさらに酸素を薄くしさらにその中に模擬戦も加え、体に慣らしていったのだった。





 

 とある場所で黒いローブを纏った集団が円卓を囲み、話し合っていた。


「おい!例の物を所持してる奴は見つかったか」

「いいえ、まだ調査中です。ですがわたくしの知り合いの預言者が一つ予言をくれました。その内容がその者は‵金髪の少女‵である、と」

「なるほど……。皆聞いたか?その者は金髪の女の可能性がある。それについて調べよ。何かのヒントになるかもしれん」


 女性の発言を聞くと黒いローブを着た集団のリーダーと思しき男は、顎に手を当て何かを考える素振りを見せた。


「それから器と魂を封印している者について分かった事はあるか」

「それなら一つ文献で面白そうな記述を見つけた」

「なんだ?」

「魂を封印せし者は器としての機能も合わせ持つと記述されていた。他にも興味深そうな内容があったと思われるが、文字の掠れや劣化のせいでまともに読めるところはごく一部だ」

「なら貴様はそれの修復に努めよ。他に分かったことがあれば逐一報告しろ!」

「御意」


 獣人であろう男はリーダと思しき男の命に一言返事を返し、リーダーと思しき男は周りを見渡し、特にないことを確認すると解散の合図を出した。


「では以上で解散だ。それぞれ働けよ」

「ああ、わかっているとも」

「わたくし達の王を迎えるためなのだから」


 黒いローブを纏った者達が一斉に話始め、リーダーと思しき男がパンと手を叩き今度こそ終わりを迎えた。


「「我らが魔王様の為に!!」」

いつも読んで下さり有難うございます。

『面白い』や『よかった』と思っていただけたら評価やブックマーク、感想等をしていただけると嬉しいです。


これにて序章終了です。次回から新章に入ります。これでやっと書きたかった学園編に入れ、さらに盛り上げられたらいいなと考えています。

これからも応援よろしくお願いします。


更新は毎週木曜日の予定です。

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