第8話 そして翌日
アリサはユリウスに連れられ屋敷を後にした。ユリウス達はいつも場所に向けて歩いて行いた。
「ねぇ、お兄ちゃんホントに大丈夫?昨日何も言わずに出て行ったことあんなに怒られたのに」
アリサは不安そうな顔をして言った。
「大丈夫だよ俺もちゃんと策は考えてあるから安心しろ」
「ならいいんだけどなの」
アリサはユリウスの言葉を聞き、それに関しては任せようと思った。
「ねえ、一つ剣について聞きたいことがあるの」
「どうした、答えられることなら何でも答えるぞ」
それから少し間を開けてアリサはユリウスへ質問した。
「まえに言ってた星の剣って何なの」
「星の剣か……少し長くなるかもしれんがいいか」
「うん」
アリサはそれを聞いた後頷きで返した。
「じゃあ、始めるぞ。まず星の剣とは星の聖剣エクスカリバーの力の一部分を引き出し行使する剣技だ。天罰の剣の下位互換的なものかな。星の剣はエクスカリバーの力の一端を引き出しは出来るが基本的にリミッター……制限がかかっている状態の最大火力の十分の一以下の火力しか出せないが簡易的になら天罰の剣ほど消耗せずに最高の一撃が撃てるんだ。そして天罰の剣は火力だけなら星の剣より出せるが習得が困難だということと使用後の消耗が激しいことが欠点だ。まだ未完成なら消耗もあまりないが完成すると生半可な鍛え方だと連発できない。だから俺的には前者を勧めたんだ」
ユリウスは星の剣と天罰の剣の根本的に違うところを説明した。
星の剣は使用者の未来への期待や希望によって威力が変化することがある。
天罰の剣は悪を裁くことや敵意をどれほど向けられたかにより威力が変化する。そして他にも条件はあるが今はこれだけで覚えるだけならこれだけで十分だとアリサに教えた。そして両者とも威力の低下はないむねも伝えた。
「なるほどなの。つまり火力は落ちるけど戦闘の持続ができるか火力で押し切れなかったら戦闘の持続が大変になるってことなの」
「まぁ、ザクッリ言えばそんな感じだ。だから未完成でも天罰の剣はそこそこ強いからそれを奥の手にして他の剣技を覚えた方が強くなれるぜ。その過程で足りなものに気がつき完成への一歩にできるしな」
アリサとそんな話をしていると目的地に着いた。そしてギルが軽く手を振ってきた。
「わりい。まったか」
「いや、僕はやりたことがあったから大丈夫だよ」
「ならよしか」
そしてとりあえず日課になっている筋トレをユリウスとギルはやろうとしてがアリサがいることを思い出し何をやるのかこの先のことを伝え三人は準備運動程度に走りこみをし筋トレをした。アリサは以外にもユリウス達についてきていた。それを見たユリウスは屋敷の稽古でもちゃんと基礎のトレーニングをしっかりやってたんだと感心していた。
「よし、まずは軽く一本模擬戦といきますか。ルールはいつも通りで」
ユリウスがそういうとアリサとギルは頷きで返事を返した。そしてアリサがユリウスとやりたいと言い出したため対戦相手が決まった。そして何回か戦い模擬戦を終了した。そしてユリウスの全勝であった。
「さすがお兄ちゃんなの」
「はぁ、まだお前にとどきそうもない、か」
そしてギルが戦闘スタイルについて話を振ってきた。そしてアリサはその話に食いついた。まだ自分の戦闘スタイルを決めてないからである。ギルやユリウスと模擬戦をし自分に足りてないものの一つに気がついたためだ。もしギルがこの話題を出さなければアリサが出そうと思っていた。
「戦闘スタイルか。例えばギルどんな感じだ」
「僕は魔法と剣を両立したい感じかな。魔法で牽制しつつ近接を仕掛ける感じかな紋章も第四紋だから」
「……羨ましいな」
ユリウスがそう答えた後アリサが口を開いた。
「私もそうしたいかな。せっかく魔法が使えるからそうしたいの」
「なるほど……」
ユリウスは二人の魔法使える宣言に敗北感を覚えその場に両手を地面に付き落ち込んでいた。
「だ、大丈夫か」
「大丈夫なの?」
そしてアリサとギルは理由を悟りアリサはあははと苦笑いを浮かべた。それからギルが「とりあえず気を取り直して話を戻そう」といった。
「ギルさんだけ対応酷くね」
「…………」
ギルは何も言わず沈黙していた。そしてアリサがまあまあと言ってきたのだ。それからユリウスは気を取り直し話を戻した。
「戦闘スタイルの話だっけか」
「ああ」
話の確認を取り話題を戻してから話し合い始めた。
「とりあえずギルから話してくれ」
ユリウスはギルに戦闘スタイルについて話してくれと催促しそれに応えギルが応え話し始めた。
「僕のはさっきも言ったけど魔法と剣を両立して戦うスタイルにするつもりなんだ。でもどんな感じがいいかと思ってね。まだ型を決めてないから練習もできないんだよ」
「なら、こんな感じでどうだ?」
ユリウスはそう言うと地面に絵は下手だが何となく絵を描いた。それは右に剣を持って左で魔力球を展開させるというものだった。
ギルはこの魔力球について疑問を持ちその問いをユリウスに投げかけた。
「この魔力球は何?これだけだと普通に魔力弾にした方が強くないかな」
「いやこの魔力球は結構特殊な物なんだ。この魔力球の中に今習得してる魔法の魔法陣を全て展開するんだそうすれば詠唱を短縮できるのは勿論のこと発動までのほんの少しの間を開けずに撃てるからだ。さらに魔力球を展開することで大気中にある魔力の残滓であるマナを常に吸収することで魔力消費を抑えることにもはずだ。マナの吸収は中に展開してる魔法陣の副次効果だけどね。だからそれを利用するんだ」
「……なるほど」
そこにアリサの賞賛の声が聞こえた。
「流石、お兄ちゃんなの」
ユリウスは一つ言い忘れを思い出し補足の説明を始めた。
「そういえば言い忘れたが魔力球を変形させえる事で攻防一体化できるはず。計算上だから何ともいえないがそこらへんは魔法とかが使えるお前らの方がわかるんじゃないか」
「なるほど……要するに切りかかってきた敵の攻撃を盾に変形させた魔力球で防ぐことができ逆に剣に変形して二刀で攻撃することで安定した戦闘ができるってこと?」
「そういうことだ。盾に関しては展開範囲によって強度が変わるから気を付けないといけないけどな」
話を聞いていたアリサが一つ初めて聞くことを部分がありどういう事という顔でユリウスを見てきたからユリウスはそれついてこう話した。
―――純粋な魔力のみのシールドの場合攻撃をガードする為に展開するがその展開範囲が大きければ大きいほど魔力が薄くなるため耐久度が低下する。逆に一転集中すれば耐久力が上昇する。使用した魔力の量に比例してシールドの耐久度は変化するため全魔力を防御に使ったフルガードは異常な耐久力を誇る。そのため魔力をたくさん使った広範囲ガードはあまり魔力を使ってない一点集中のガードよりも耐久力は高くなる。
ユリウスはアリサにこう説明した。それを聞きアリサもそのスタイルでやりたいと言い出したがユリウスが却下した。
「お兄ちゃんなんでダメなの」
「それは単にお前の紋章との相性だ」
アリサの紋章は第三紋である。なのでバランスが取れている紋章のためギルのように近接特化の第四紋よりは相性が悪いく魔力の消費量が第四紋と比べるとあまり抑えられないためその戦闘スタイルはまだ合っていなかったのだ。だからユリウスはその案を却下したが他にアリサが使いやすい案を思いついていたのだ。
「だけどエンチャントを駆使して戦うタイプならあってると思うぞ」
「なんでエンチャントなの?だってあれは武器職人の人たちが作った武器に付与するものだから戦闘中だと使えないんじゃないなの」
「いやそうでもないぞ」
その会話を聞きギルがなるほどという表情をしていたためユリウスがなぜ勧めたのかを察しようだ。
「エンチャントは戦闘前に付与するものだが戦闘中に使うことでその場の状況に応じて変更できるからわりと使いやすいしお前の紋章と相性が良いはずだ。その紋章は魔力の抑制が他より少ないから魔力がない現状はその方が魔力切れの心配がないし付与すれば一定時間の間付与は続くからその間は他のことに魔力をまわすことができるからかな。魔力量が今よりももっと多くなればギルのスタイルにするのもいいと思うだから今は我慢してくれ」
「なるほどなの。たしかに今の私に長時間魔力を消費し続けることはできないなの……ならそのスタイルで試してみるの」
「悪いなやりたいのを否定ちまって……」
ユリウスのその言葉を聞いたアリサは別に「気にしてないなの」とこたえスタイルへのアドバイスをしてくれたことに感謝していた。それを聞いたユリウスはとりあえず安堵していた。
「なら次はユウお前のスタイルについて聞かせろ。僕たちだけ話してユウが話さないのは公平じゃないからね」
ギルがしっかりユリウスも話すように促した。ユリウスはそのまま話を変えて話さないつもりでいたがギルにそれを阻止され渋々話すことになった。
「逃がしてはくれんかい?」
「却下だね。僕たちだけ話してユウだけが話さないのはなしだからね」
ユリウスは救いを求めアリサの方を見た。するとアリサは首を横に振った。
「お兄ちゃん。しっかり話してもらうなの」
「……クソ、味方がいないだ……と」
ユリウスはそう言いった後自分の戦闘スタイルについて話し始めた。
「俺は魔法が使えるようになるまでは二刀流で戦うスタイルかな」
「二刀流とはまた使い勝手が悪いものを選んだね」
ギルがユリウスに向けそう言いアリサはその言葉に同意の示していた。
二刀流は普通とは少し特殊な鍛錬が必要になるからだ。両手に剣を一本づつ持つということは二本の剣をそれぞれ別々に動かせなくてはならないため両手で振るった際に同じ動作を必要とするとき以外は別々に動かせるようにする為の訓練が必要なため使い勝手が悪いのだ。
そしてアリサが反対の声を挙げギルはその意見に賛成した。
「お兄ちゃんわかってるの。二刀流はちゃんと訓練しないといけないからまだ片手剣しか使えないうちにやるものじゃないなの」
「ユウ、アリサの言うとおりだぜ。今はやめとけカッコイイからみたいな理由ならまだやるべきじゃないよ」
アリサとギルはユリウスに自分の意見を言いまだやるべき時じゃないと促し、もう少し鍛えてからの方がいいといった。だがユリウスは聞く耳を持たなかった「なら一戦やってみるか」と言った。それを聞いたギル達は模擬戦をして諦めさせることにした。そして誰が相手をするか決めよとした時ユリウスが「二人まとめてかかってこい」といいギル達はその提案に乗り互いに距離を取った。
「ユウこれで負けたら二刀は諦めてくれ」
「ギル、俺は負けないから安心しろ」
ギルとユリウスが話しているとアリサが間に入ってきた。
「お兄ちゃん覚悟なの」
「……いつでもいいぞ」
「そういえばなんでお兄ちゃんは腰にもう一本枝を入れてたの」
「そりゃあ二刀流だからな。お前ら相手に抜刀しても相手にならいと思って使わなかったんだ」
その後ユリウスは二人の前で初めて二本目を抜刀した。それを合図にアリサとギルも抜刀し剣(枝)を構えた。
「はぁぁぁぁ!」
アリサが先制攻撃を仕掛けてたと同時にギルが反対から攻撃をしてきた。
アリサの攻撃は体を捻り回避しギルの攻撃を右の剣を使い受け流したと同時に左の剣で、アリサに攻撃を仕掛けたがアリサは剣で受け流した。
ギルの攻撃を受け流した勢いを利用しアリサに追撃を加えたが、アリサはこれを紙一重で回避した。
だが左の剣の追撃をよけきれず腕にくらった。
そしてギルが連続攻撃をしてきたが、右の剣を使い受け流し幾つかの連撃は体を軽く動かし回避した。
その後左で攻撃を仕掛けたがギルは難なく受け流した。
そのタイミングでアリサが上段切りを仕掛けてきたが、ユリウスはギルが受け流すと同時に剣を軌道変更し、アリサの攻撃が来る地点に誘導しユリウスとギルの場所を入れ替えた。
そしてギルはギリギリで回避したが肩に攻撃が入った。
そのままユリウスはギルに追撃を加え下段からの攻撃をした。
ギルはそれを避けたが、上段からの攻撃を受け流そうとしたが間に合わないことを悟り、回避しようと右に避けたが間に合わず頭部に軽い衝撃と同時に痛みを覚えた。
その隙を見逃さずアリサが下段切りをした。ユリウスはそれを軽く弾き、アリサはとっさに下がり突きを繰り出したがユリウスは右の剣で弾くと同時に追撃のため横薙ぎを仕掛けたがアリサは、かがむことで回避した。
だが右の剣で上段から斬りかかり、アリサは躱せずそれを直撃し頭部に軽い痛みを覚えた。
「ひゃん……」
「フッ!余裕だな」
アリサとギルはその実力を認めた。
実際に自分たちが遊ばれていたという感覚を模擬戦を通して実感したのだった。
「ユウ、まさか本当に二刀流とか使えたんだな」
「ギル、お前と会う前から習得はしてたぜ気がつかなかったのか?前から腰に二本帯刀してたんだがな」
ギルは少し考える素振りを見せてから答えた。
「……言われてみれば持ってたなてっきりカッコつけかと」
「ひでー、せめてもう少し高評価が欲しいのだがなー」
ユリウスはギルの発言を聞きもう少し評価を高くして、と思うと同時に自分の評価のがわかりどんな印象なのかもその時点でのものを理解し悲しく感じていた。
「ま、まぁお兄ちゃんが二刀流なのはわかったなの。でもお兄ちゃんがそれだけしかないなんてことはありえなの。まだ何かありそうな気がするの」
「さ、さぁ何の事だかさっぱりだな」
ギルはアリサの発言を聞きたしかにと頷いた。
「たしかに何かまだ隠してそうだね。僕にもそう見えるかな」
そう言うとギルはユリウスの方を見た。するとユリウスと一瞬目があったがユリウスはすぐに目を背けた。
「今の反応は怪しいね。やっぱ何か隠してるように見える、僕たちにも見せないようにね。さあどうかなユウ」
ギルがユリウスにそう言うとアリサは問い詰めるようにユリウスに近づき顔を覗き込んだ。そしてギルは問い詰める様な表情でユリウスの方を向いた。
ユリウスは逃れられるか思考を巡らせたが、逃げ切れる考えが浮かばずユリウスが先に折れ「しかたないか……」と呟いた。
「一つ先に言っとくがこれはまだ完成してないから期待してくれるなよ」
それを聞きギルとアリサの二人は了解示すように頷いた。それを確認するとユリウスは発動のための準備に入った。
「演算開始……理論構築、事象変更……完了。ふむじゃあ撃つからそこどいてくれ」
大木の前に立っていたアリサはユリウスの指示に従いその場をどきギルが立っている場所へ移動した。
ユリウスは大木へ狙いを定めた。
「こんな感じ、だったはず……よっと発射」
そしてユリウスは自分の指先に展開していたファイヤーボールを放った。そしてファイヤーボールは見事に大木に着弾した。大木はその火力に押され着弾地点からバキバキと音を立てながら倒れた。
「おお!前より火力が結構上がったぜ」
ユリウスが一人で感動している頃、ギルとアリサは今目の前で起きたことに驚愕し言葉が出なかった。そう二人はこれを魔法だと思い込んでいるのだから。無論、魔法ではないがまだ二人は魔力感知が正確にできないため今の出来事をそう捉えた。
「……ユウお前魔法が使えないって言ってたけど使えるようになったのか」
「……流石なの。驚かせる為にあえて使わなかったの?」
二人は各々ユリウスに賞賛の声を送った。だがユリウスはそれを否定し魔法ではない事を説明した。
「いや二人ともこれは魔法じゃないんだ。これは数秘術っていうらしい。なんかの文献を読んで知ったんだけどね。……てか前より火力が出るようになっていたんだが」
ユリウスはアリサ達二人にそう告げた。最後の言葉は小声で言ったため二人には聞こえていたなかった。
ギル達二人はその事実を聞きまた別の意味での驚愕が思考を支配し、絶句していた。
「——————」
それから少しの間を置き二人は口を開いた。
「え?でも……」
「お兄ちゃんでもそれは魔術の類じゃないの?」
そしてユリウスは魔術や魔法との違いをざっくり説明した。
「魔法や魔術は魔力を消費して何かの事象を強制的に起こすだろ。だけどこいつは世界の法則に干渉して事象を変更するものだ。即ち魔力を使わない。だから魔力感知を使えば魔法の痕跡がないはずだ」
ユリウスがアリサ達二人に試してみろと言った直後二人はまだ不完全な魔力感知を使った。
「ホントだ!魔法の痕跡がないなの」
「たしかに。それにしても聞いたことのない術だね」
「たぶん、珍しいものなんじゃないかな。……気がついたら使えるようになってたから詳しいことはわからないけど、使ってみて魔力を消費しないこととそれを踏まえて推測したのが世界の法則に干渉するって事実かなだから正しいかはわからないけど少なくとも魔法関係の事柄ではないと思う」
ユリウスはそう説明したが一応の原理は龍神に聞いていたため知ってはいる。だがそこまで言うと面倒なことになるかもしれないと判断しそれ以上の説明をする気はなかった。
「ところでお前ら何か魔法を使えるようになったのか。とくに俺はアリサのやつは見たことがないしな」
アリサとギルは互いに顔を見合わせ使ってみるかという意思を確認し頷いた。
「じゃあ、私からやるよ。お兄ちゃんしっかり見ててね」
アリサは意識を集中させ、手を前に突き出した。すると魔方陣が展開されそこから氷の槍が現れた。
「……アイシクルピラー」
魔法が発動し氷の槍が正面にあった木へと放たれたした。
「おお!」
「綺麗だね」
ユリウスとギルは素直にアリサの魔法の腕に賞賛した。その魔法は魔力をあまり使いすぎておらず無駄が無かった。
それに続きギルが魔法を発動させた。そして、その魔法にも無駄が無かった。
「ファイヤーボール」
その火球はユリウスに向けて放たれた。
「あぶねッ!!」
ユリウスは飛んで来た火球を居合いで斬り飛ばした。
「おいギルいきなりこっちに撃つな。まったく」
「難なく斬り飛ばしてる時点でその言葉はふさわしくないぞ。なぁアリサちゃん」
ギルはアリサの方を向くとそこにはコクコクと頷くアリサの姿があった。ユリウスはその姿を見て味方がいない事を察し溜息を吐くユリウスの姿があった。
「それにしてもギルにぃの魔法もすごいなの。魔法に無駄が無かったの」
「僕は結構しばかれたからできるようになったんだよ。あはは」
ギルは何かを思い出したように遠い目をしながら言った。ユリウスとアリサの二人はそんな姿の彼を見て大変だったんだなと思い深くは考えないようにした。
「まぁ俺はその辺はよくわからんな。魔法についてはまだ詳しく勉強してないし使えないから感覚的なことはわからんな。まぁすごいってのは何となくわかるけど」
「やっぱそうだよね。この辺は使える使えないで変わるとこだしな」
ギルはユリウスへ簡単に返事をした。一方アリサはユリウスに褒めて欲しそうに眺めていた。
それに気付いたユリウスはアリサの方に歩きだして頭を撫でた。
「アリサもすごかったぞ。まさかギルと同等くらいまで鍛えていたなんてな」
「ふふん!母上に直々に教えてもらってるから当たり前なの。もっと強くなってお兄ちゃんが使えるようになった時私が教えてあげるなの」
「それは楽しみだな」
アリサは褒められたことが嬉しく胸を張っていた。そしてユリウスに教えることができるようになると誓ったのであった。
ギルはアリサの説明を聞きなぜそこまで鍛え上げれているのかという疑問が解け一人でコクコクと頷き納得していた。




