桜色の互恋4話絶望と希望
チャンスを失い、俺とたくまは途方に暮れていた。
もう、臨海学校もない。
いつ告白するのか?
何故、臨海学校にこだわるのか?
いつの日でも良いのでは?
と思う人がいるだろう。
それは、違う。
たくみは、水泳経験者で小学校の時には、全国大会レベルだったらしい。
つまり、カッコつけられたという事だ。
だが、たくみには1人で告るというのが無理で、本当は俺を頼りたかったらしい。
しかし、俺は病気で入院していて、助けてあげられなかった。
こんな事をウズウズやっていて、1ヶ月。
10月10日。
展開が変わってきた。
さくらがたくみに猛烈なアピールをするようになったのだ。
9月頃から今にかけて、たくみはさくらに一切挨拶やアピールをしていなかった。
そして、話してもいなかった。
何故急に⁈
俺は、さくらをみている限りで察する事が出来た。
9月の下旬。
俺たちの学校では、合唱コンクールがあった。
それが、好かれたポイントだ。
たくみは、実行委員のトップであり、歌もかなり上手かった。
クラスみんなの透き通った声に、たくみの美声。
そこに、惹かれたのだろう。
結果、たくみのクラスは金賞だった。
「あんな声、ズルすぎる」
と影でもコソコソ聞こえるくらいであった。
彼には、歌が上手いという才能があったが上に、結果としてさくらにモテたのだ。
「羨ましい」
と思っていたのは公然の秘密。
だが、この事をたくみに伝えると絶対調子に乗る。
なので、あえて言わないことにした。
この調子なら、絶対結ばれる。
俺は、大いに喜んだ。
「遂に、たくみの夢が叶う」
と俺は思っていた。
この後どうなるのか。
俺は、考えてもいなかった。