まとめとお礼の言葉
思えば、この文章を書くのを心待ちにしていた一年でした。
私にとって、初の「人に見せるための連載」であり、よく連載作家が「早く最終回を書きたくて仕方がない」と言う気持ちがすごく痛感できました。
連載とはいわば、「ゴール地点は知っているのに道中のコースも距離もよくわからないマラソン」のようなもので、最初十三話ぐらいで終わるだろうと思っていた作品が、気づけば全六十話に膨らんでいました。
出だしは「気乗りしないけどあえてテンプレ作品を書いてみようか」というもので、一人の方がそれに賛同されたことが発端でした。途中弱音を吐いたり間が空いたりしたものの無事完走できたのは、ひとえに声援・ブックマーク・評価を頂いた皆様のお陰に他なりません。「この人たちのために最後まで書き上げるんだ!」という強い意志が持てなければ、間違いなくエタっていたものと思います。
初連載ということで、色々と反省点も多く、例えばシェム将軍やガブリエルがほとんど活かせなかったり、ご好評いただいたリリスの出番がオフィエル覚醒以降まったくなかったりと(一度リリスの性格に戻る展開も考えたのですが、無口でぽややんなキャラというのは小説で活かしにくく、断念しました)、もう少しなんとかできなかっただろうかという心残りがあります。
外伝作品、例えばその後のキャラの話ですとか、あるいは時代を遡って教皇勢力やチェルノブイリとの戦いを描く案もあったのですが、力及ばず大人気作とはなれなかったので、私自身全く作風の異なる作品を書きたい気持ちが強いこともあり、残念ながら外伝構想はボツとさせていただきます。
ここまで反キリスト教的な作品になってしまったのは、私の半生が半分と、もう半分は真・女神転生Ⅱの影響です。ラスボスが唯一神というのには度肝を抜かれたものです。前者については間違いなく楽しい話にならないので詳細は割愛します。ただ、色々と調べていくうちに、「キリスト自身は至極いいことを言っていたのに、後世の人間が教えを捻じ曲げたのではないか」という考えに至り、僭称者というキャラがラスボスとして明確に定まりました。
よく書き手の間で話題になる、「受けなさそうだけど自分の好きなものを書くべきか、好きではないけど受けそうなものを書くべきか」という命題に、今なら答えが出せます。前者です。
当作はご声援いただけたことと、私がキャラクターに愛着を持てたこと、時折パロディや息抜きのエッセイを挟むことにより無事完走できましたが、ことと次第によっては全く愛着の持てない作品を終生書き続けなければいけないこともあるわけです。それは大変辛い。
テンプレチーレムと銘打っておきながら、終盤からエンディングにかけて、かなりビターな味わいになったことからもお判りいただけるように、やはりウェットな作風が私には合っているようです。あるいは、別作「闇鍋推理バトル!」のような実験作を書きたいという気持ちも強いため、次回作以降は自分の特性に合ったものを書こうと考えています。
長くなりましたが、以上が「自称・漆黒の堕天使が異世界を改革するようです」まとめの言葉となります。この一年、お付き合いありがとうございました。




