第五話 LOVERS
どこなんだここは……。
砦に後詰が来た夜のこと。どうにも寝付けず、気分転換のために砦の中を徘徊していたが、すっかり迷ってしまった。見張りに遭遇できればいいのだが、とんと出会わん。
それでも人を求めて彷徨っていると、石造りの上り階段の上から、月光が差し込んでいるのを見つけた。もしかしたら、見張りが居るかも知れない!
ひょっこり出入り口から首を出して周囲を伺うと、月光に照らされ、キスを交わすシトリーとウィネの姿が目に映る。その様は幻想的ですらあった。
やべーな、百合かよ! フフフ、高級チェアに腰掛けてナイトガウンに身を包み、ブランデーをくゆらせながら眺めたい気分だよ……。あ、膝の上にペルシャ猫も追加で。
尻尾とかピンと立っちゃってるよ。猫って嬉しい時、尻尾立てるんだよな確か。……それにしても全然離れないぞこの二人。ふいに大あくびしてしまうと、やっと俺に気付いたようで、慌てて離れた。
「ルシフェル様、お早うございます。見張りの交代はまだだったと思いますが」
シトリーがばつが悪そうに尻尾を小さく振る。ウィネの方は、今にも消え入りそうにもじもじしている。
「いやな。眠れずにうろついてたら道がわからなくなってしまったのだ。それにしても、最近地上では女同士でそういうことをするのは普通なのか? なにぶんジュデッカが永くてな」
階段の途中で話すのも何なので、昇り切る。
「ボクたち猫人族は女が多いせいか、普通に女同士で恋愛しますよ。人間にも多少居ますね。教会が権勢を振るっていた時代は同性愛は禁じられていましたけど、教皇が倒されてから解禁されました」
そう言いながら、ウィネと指を絡め合う。いいねえ、恋人繋ぎ。
「よいぞよいぞ。漆黒の堕天使ルシフェルの名の下に、お前たちの愛を祝福しよう」
「「ありがとうございます!」」
二人でペコリと頭を下げながら、再び尻尾をピンと立ててハモる。
「ルシフェル様。あの、さっきのキスはあたしがシトちゃんにお願いしたことなので、サボりの罰はあたしだけにするように、どうかお願いします。悪いのはあたしなので……」
「よいよい、口外せぬ。見たのが我で良かったな。……むう!? おい、あれを見よ!」
指差した先で、夜空に瞬く星々の結構な数が、徐々に大きさを増している。
「天使!!」
ウィネがラッパを吹き、敵襲を知らせる。たちまち、砦の中は蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。
「ルシフェル様、ボクの後に付いて来て下さい! テラスまでご案内します!」
シトリーが跳ねるように階段を駆け降りていく。俺も彼女に続いた。
今回のおまけコーナーは、キャラクターの年齢・身長・体重です。
鈴木良太 (ルシフェル・アシュタロス)
年齢15歳 (自称46億歳)
身長167センチ
体重50.5キロ
ベル・ゼーブル
年齢15歳
身長140センチ
体重39キロ
フォル・ネウス
年齢16歳
身長158センチ
体重47.5キロ
シトリー・カイム
年齢18歳
身長165センチ
体重52キロ
ウィネ・ストラス
年齢18歳
身長160センチ
体重48.5キロ
ユコ・バック
年齢12歳
身長139センチ
体重38.5キロ